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未来の大学で出会った「新しい学びのかたち」


新設されたばかりのミネルバの社会人大学院では、不確実で複雑な社会における組織の中で、前例のない意思決定を効果的に行っていくことを学びました。授業は全てオンライン、かつアクティブラーニングを基本とし、毎日90分、生徒が難解な社会課題に対して自分なりのアプローチを発信し、クラスメイトとの議論を通して解決案を模索していくものでした。

世界的な食料不足、気候変動、伝染病対策など、どれも最適解が見出されていない厄介な問題ばかり。これらの原因を正しく捉えて分析し、人間ならではの知恵とアルゴリズムを活用しながら最適な結果を模索する特訓をしました。そこで私たちは、21世紀の未解決課題は、特定の専門分野では解決されず、異分野間での協力が必要であることも学びました。


ミネルバ大学での講義の様子

近年盛んに求められている“イノベーション”ですが、これも異なる知と知の新しい組み合わせによって生まれることがわかっています。例えばHIV/AIDSの疫学対策においては、薬学の他に、行動保健学や社会的偏見にも対応する必要があり、さらにはジェンダー心理学の知も制圧に貢献しました。

こういった実践的な学びを通してミネルバが輩出しようとしている人材像は、特定の専門分野だけでなく、現代の問題の複雑性を深く理解し、異分野の専門家たちを巻き込ながら解決を目指す“シンセサイザー人材”です。

シンセサイザー人材とは


ミネルバでは、教授陣によって作られた「意思決定学」という独自のカリキュラムによって、シンセサイズするスキルを学びます。シンセサイズとは、「総合する、統合する」という意味ですが、そのためにはまず、自分の専門分野外も含めて、状況やコンテクストにあった「信頼できる情報」を正確に判断していくことが欠かせません。

誰しも、自分の専門領域の知識はあるけれど、専門外となると正確に判断するのは難しいものです。その中でいかに真偽を見分けていくか。情報のソース、サイエンスメソッド、実験の規模や質など、信頼性と妥当性を検証していく方法を学びました。

人間同士が起こしてしまう意思決定のエラーへの対応も重要なポイントです。例えば、利害関係者が陥りがちなバイアスにはどんなものがあり、そのネガティブな影響をどうしたら軽減することができるのか、さまざまな事例を通して、判断力を身につけます。

複雑な問題の解決にあたり、異なるバックグラウンドの人が集まる際には、全員がすべての専門分野について深い知識を持ち合わせているとは限らず、一つの方向に向かうのには難しさがあります。そうした際に、チーム内にシンセサイザーがいれば、プロジェクトは前に進みやすくなります。

文=植山智恵

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