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いかに多くの機会を与えられるか


木村氏は福島県で生まれ、幼少期は遊びの中で体の使い方を自然に学習した。

「たとえばでこぼこ道を歩いたり、田んぼでオタマジャクシを捕まえたり、木に登ったり。日常生活や遊びの中で、自然に体にいろいろな刺激を受ける環境で育ったんですね。そうした肉体的な刺激を受けることで、人間の感覚というのは慣らされていくんです。

たとえば、みんなでラグビーをしたとします。中にはタックルを痛いとか恐いと思う子どもがいる一方で、タックルが気持ちいいとか楽しいと思う子どもがいる。その違いは何かというと、体のセンサーの違いです。痛いと思う子は敏感なセンサーを持っている。楽しいと思う子のセンサーは鈍感なんです。

どちらが良い悪いではなくて、敏感な子には繊細な関わり方をして、徐々に体を刺激していって慣らしていく。反対に鈍感な子は繊細な子と一緒に運動をしていくうちに、繊細な子の気持ちや力加減が分かるようになる。そうやって、その子にあった刺激を、しかもできるだけ多くの種類の刺激を受けることが重要です。僕が指導している子どもの中にも、最初はコートの隅っこでモジモジしていたのに、10ヵ月後には集団の中でリーダー格になっていたなんてケースもあります」(木村氏)


Purino / Shutterstock.com

そうでなくても自然に触れ身体的刺激を受ける機会が少ない現代の子どもたちは、コロナ禍でますますその機会を失っている。脳が最も発達するといわれる幼少期、いかに体を動かし、感覚的刺激を受ける機会を多く与えられるかを考えることは大人の使命ともいえる。

とはいえ、難しく考えることはない。たとえば木村氏の著書にある、トレーニングのワークシートをコピーして子どもの目に見えるところに貼って、「今日はこれだけできた!」「明日はこれだけやってみよう」と、ゲーム感覚でまずは体を動かす習慣を作ってみる。これなら、親子ですぐにでも始められそうだ。

著書では、体を動かすことで脳を刺激して頭がよくなる、まさに一石二鳥の効率的な運動が紹介されている。これを全てまんべんなく実践できれば、脳のチカラを目覚めさせることができるのだろうが、無理に全部をやらせる必要はないとのこと。基本的に子ども時代というのは、体を動かすことが心地よいこと、快感につながりやすいものなのだそうだ。

自分の体を使って何か出来た、目標を達成したということは、喜びにつながり、自己肯定感を養うことにも繋がる。まずはその子の個性にあったペースで運動を習慣化してみてはどうだろう。




木村匡宏◎MTX ACADEMY チーフトレーナー。小学生の時に空手(中学時に東北大会優勝、全国大会ベスト8)、中学から野球をはじめ、高校卒業後、慶應義塾大学へ進学し体育会野球部へ入部。金融機関勤務を経て、上達屋パフォーマンスコーディネーターとして3万人以上をサポート。2016年3月IWA ACADEMY(のちのMTX ACADEMY)チーフディレクター就任。主にプラクティスフィールド担当として子どもからメジャーリーガーまでをサポート。『速効! 5分で伸びる! 子どもの走り方トレーニング』『実はスゴイ四股 – いつまでも自力で歩ける体をつくる』など著書多数。

文=濱中香織(パラサポWEB)

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