Close RECOMMEND

日米スポーツビジネス最前線

JHL提供

日本ハンドボールリーグ(JHL)が去る12月20日、新リーグ創設を2024年に目指す「次世代型プロリーグ構想」を発表した。

1976年発足のJHLは、日本ハンドボール協会の任意団体としてリーグ運営を行ってきたが、昨年4月、意思決定のスピードと事業価値をさらに高める “改革” のため、協会から独立して一般社団法人化された。プロ野球球団やBリーグなどで経営改革の実績が豊富な葦原一正氏が代表理事に、その後6月に計10名の理事が選出され、筆者もその末席を汚すことになった。

“改革” にはスピードと対話が必要だ。

はじめから万人受けする改革案などというものは存在しない。それではもはや改革ではなくなってしまう。スピードも求められる。だからこそ、この相反するチャレンジの両立が必要となる。

しかしまだ、特に一般企業での取締役会に当たる理事会の動きは外からはわかりづらく、新リーグ構想の内容や生まれた経緯などについて、十分な説明がなされているとは言い難い状況だと思う。理事会がハンドボール界を前進させるためにどのようなことを考え、議論してきたかを少しでも理解して頂く一助になればと筆を執った。

課題は多くのスポーツに共通。改革案を提示したい──

そして、ハンドボール界におけるリーグ改革の必要性や事業成長のボトルネックは多くの日本のスポーツに共通するものであり、同じような境遇にある競技の未来に光を灯せるような改革案を提示したい。理事への就任もこうした想いから受諾したものだ。

よって今回、一理事の立場からJHLの新リーグ構想について、できる限りかみ砕いて皆さんにお伝えしたい。本コラムはJHL理事としての私の個人的な意見であり、JHL理事会としての正式見解ではないことを申し添えておく。

伸びしろ十分! 事業規模は現在Bリーグ・約60億円の1/30



土井レミイ杏利選手(Photo by Lars Ronbog / FrontZoneSport via Getty Images)

リーグ改革において掲げたのは、45年もの歴史あるハンドボールリーグの経営をしっかりと継承しながら、よりサステナブルな形で進化させ、ファンや子供たちが大きな夢や希望を感じることができる環境を創り出すこと。フェアで熾烈な競争をベースにレベルアップを重ね、ゆくゆくは世界最高峰リーグを目指す。これが長期的目標だ。

現在の競技者人口は約10万人。同じアリーナスポーツのバスケットボールと比べると1/6だが、経営面で比較するとリーグの事業規模は約60億円のBリーグの1/30と大きな差がある。見方を変えれば、十分ここから事業成長が望める環境にあるということだ。

ハンドボールは野球やサッカー、ラグビーなどより選手枠も少なく、固定費がそこまでかからない。試合時間もコンパクト(前後半30分ずつで延長なし)でデジタルマーケティングにも向いている。活況を呈するアリーナビジネスとしての可能性も考えると、事業的な伸びしろは少なくない競技であると言える。

しかし、足もとを見ると現状はなかなか厳しい。最新アリーナ「エントリオ」を愛知県稲沢市にオープンさせた豊田合成のような実業団がある一方で、空調代を捻出できずに冷暖房のない施設でのプレーを余儀なくされたり、選手のロッカールームや審判の控室がないようなケースも散見され、試合や練習を行うのに十分な環境がリーグ全体で整備できているとは言い難い。ファンや子供たちの憧れの対象になるためにも、第一歩として最低限のプレー環境の改善が必要だ。



2020年9月にオープンした「豊田合成記念体育館(愛称:エントリオ)」(c) 豊田合成

ボトルネックは「実業団」と「クラブチーム」の混在


競技をレベルアップし、事業を拡大する経営環境を実現する上でボトルネックになっているのが「実業団とクラブチームの混在」だ。目線の異なる組織が同一リーグで競い合うと、後述するように意図せずに事業成長の妨げになってしまう。

このことから日本のリーグ改革というと、Jリーグの華々しい成功やBリーグの躍進もあり、真っ先に「チームの独立法人化によるプロ化」が想起される。

文=鈴木友也 編集=宇藤智子

Forbes SportsBリーグ
VOL.87

メダリストが専属コーチに。トータルフィット...

VOL.89

「日本流シングルエンティティ」は、新たなリ...

この著者の記事一覧へ

PICK UP

あなたにおすすめ