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Forbes JAPAN Web編集部


異業種提携で「クルマのある生活」の良さを訴える


19年1月に設立されたトヨタのサブスク「KINTO(キント)」は、最大7年間の契約プランでトヨタ・レクサスブランドの計33車種を提供する。

20年12月時点で1万2000件だった申し込み件数を、21年11月には2万8000件にまで伸ばした。

キントは定額で車に乗るだけでなく、移動の時間や目的地での体験を楽しんでもらえるような付加価値の提供で、他社との差別化を図っているという。同社の副社長執行役員 CSO、本條聡は次のように語る。

「自動車の販売会社さんは、主にクルマの購入、点検・修理、車検、買い替えの相談の際にお客様とコンタクトをとります。キントの場合、契約以降も常時お客様とコミュニケーションをとり、キントにして生活が豊かになったと思ってらえるサービスを提供したいと思っています」

その施策の1つが、異業種と提携する「モビリティマーケット」だ。JTBや近畿日本ツーリストといった旅行事業者をはじめ、ドコモのデバイスレンタル「kikito」、キャンピングカーシェア企業などと組み、ユーザーにはそれらのサービスに利用できるポイントを提供している。

また、キントは若年層をメインターゲットに置き、若い人に負担となる任意保険なども定額料金に含むといった工夫も行っている。本條は続ける。

「私が社会人になった20年前は就職するとまず車を買いました。車がないと女の子をデートにも誘えない時代だったのです(笑)。いまの若い人たちは、都会に住んでいれば公共交通機関が利用でき、必要なときにレンタカーやカーシェアを使える。車がステータスみたいな時代は終わり、いまは純粋な移動手段に変わってきています。

とはいえ、車は『愛』が冠される数少ない工業製品です。洗濯機を『愛機』、冷蔵庫を『愛庫』と呼ぶ方は少ないと思いますが、『愛車』という表現はあります。テレビCMでも、菅田将暉さん、二階堂ふみさん、矢本悠馬さんがキャンプに行って『やっぱクルマっていいな』と打ち出しているのですが、とにかく『車のある生活っていいですよ』と言いたい。キントが所有でもシェアでもない、車を利用する第3の選択肢になればいいと思っています」

今回見てきたように、車のサブスクはデジタルでの豊富な知見やブランド信用度だけでは生き残れない。

事業者に求められるのは、自社の強みを発揮しつつも、地道なインタビューによる顧客理解や異業種提携での顧客体験の創出などのように付加価値を生み出す姿勢だ。

文=露原直人 写真=藤井さおり

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