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ときに「他の企業がそっくりそのままの機能を開発し提供してしまうのでは?」という心配をいただくことがある。確かに、現時点のチームスピリットをコピーした製品を作ることは、ある程度のエンジニアでいればできるだろう。

しかし、その先のリーンスタートアップで新機能を追加していく改善は真似できない。

利用顧客からのフィードバックなど、コミュニケーションを重ねた分だけ信頼関係が深まり、機能改良を重ねた数が社内の知見としてたまっていくからだ。

例えばチームスピリットの場合、11年にサービスを開始した当初はエンジニアが直接顧客からの連絡を受けて機能改善を行ってきた。電話するとすぐに直るので、当初は驚かれ喜ばれた。

徐々に顧客が増えてエンジニアが対応しきれなくなったため、13年にカスタマーサクセスの専任担当をメンバーに加え、顧客対応を徹底することにした。

少しでもお客様自身で解決できるよう、専用のポータルサイトを作成し、FAQやマニュアル、セミナー動画などのコンテンツの充実を進め、年間契約で顧客専任のコンサルタントをアサイン・サポートする、プレミアサポートも提供している。

ハイタッチ層(最も利益を生み出す大口顧客)にはカスタマーサクセス担当がこちらから定期的にコンタクトし、サービスの活用状況やお困りごとなどを聞く。

カスタマーセンター
Getty Images

そこで得たフィードバックは、定例会議などで開発部門と共有し、対応。また、ポータルサイトに掲載しているFAQなどの閲覧状況を確認できるようにしており、注目されているテーマはなにか、普段と異なる内容へのアクセスはないかなど、日々チェックしている。

サービスの規模が大きくなってもユーザーが不便を感じない体制を敷き、地道なアップデートを重ねることに顧客が価値を感じ、サービスから離れずに使い続けてもらえるのである。

いま競争環境にいるSaaS企業には、ぜひ参考にしていただきたい。

参入の余地は


SaaSは先述の通り先行者優位が働きやすいため、参入企業が多い領域に入り込むのは難しい。だが、トレンドである「DX」はこれから挑戦する企業にとって追い風となる。デジタル化がまだ進んでいない新規分野での参入が有力な選択肢になるだろう。

参入した場合、カスタマーサポートは以下のような項目で構築していくのが望ましい。

1. 問い合わせ内容やお客様の利用状況をなるべくオープンに社内共有する(状況を診断する)
2. 開発メンバーなど、製品に詳しいメンバーが直接お客様の対応をする(専門家が対策を生み出す)
3. 回答内容の標準化や、対応策を整理して社内で対応できる人間を徐々に増やしていく(多くの人ができるように標準化する)

特に1と2は体力を使う部分だが、お客様の生の声を対策に生かすために重要なステップとなる。

こうしたカスタマーサポートなどで「地道にお客様の声を直接聞くこと」、得た声をサービスに反映し、定期的にアップデートを続けられる企業が、SaaS業界で生き残る。それは今後も変わることはない。

チームスピリットも、姿勢を変えることなく働く人達の目線で機能を追加し続けていく。それがこの先もBtoBサブスクリプション業界を勝ち抜く要件にほかならないからだ。


荻島浩司(おぎしまこうじ)◎株式会社チームスピリット代表取締役。1996年、当社設立。インディペンデント・コントラクターとして株式会社東芝および東芝ソリューション株式会社(現 東芝デジタルソリューションズ株式会社)において金融機関向けパッケージ開発や、オペレーショナル・リスクコンサルティングに従事。2011年働き方改革プラットフォーム「TeamSpirit」を企画・開発してSaaSビジネスに参入。

文=荻島浩司 編集=露原直人

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