京都市在住のフリーランスライター兼編集者

女性の誇りや尊厳を考えるブランド「ナオランジェリー」を展開する栗原菜緒に、ランジェリーに魅せられたきっかけや、趣味の総合格闘技、働くうえでの指針について聞いた。


2013年に起業し、見た目の美しさと機能性を併せもつメイド・イン・ジャパンのランジェリーを自らデザイン、販売しています。ブランドコンセプトは「自尊心」。下着のデザイン性や縫製の確かさはもちろんのこと、「ランジェリーというものを通して女性の尊厳を訴えたい」という強い思いがあり、シリーズ名を「be unique」「Stay who you are」「Strong will」「We on fire」とするなど、女性たちへのメッセージも込めています。

私がランジェリーというものの“力”を知ったのは、中学2年生のときのことです。女性を尊重しない父権的な家で育った私は、誇りをもてず、自尊心がとても低かった。でも、自分で選んだブラジャーを身に着けて鏡の前に立ったとき、素直に「きれいだな」と思えたのです。人との比較ではなく、初めて自らと一対一で対話ができたというか、「女性である自分」をまるごと肯定できた瞬間でした。ランジェリーは体の大事な部分を守るだけでなく、心まで守ってくれる“美しき鎧(よろい)”だと感じています。

そんな私がいま夢中なのは、総合格闘技です。見るのも大好きですが、1年前から自分でも始めました。もともとエネルギーやパワーが有り余っているタイプなので、コロナ禍となって動けないことがとてもストレスで……。ヨガでは解消できないくらい、動的なものが必要だったので、週4ペースで通い始めました。現在も週1回は必ず通っています。

総合格闘技やボクシングが好きで、プロレスには興味がないところをみると、ショーの要素なく、どちらかが倒れるまで真剣に闘うことに心引かれるのだと思います。実際に自分でやってみても、すごく爽快だし、終わったあとのリフレッシュ感がたまらない。人を殴る・蹴るというのは普段の生活では絶対にしてはいけないことですが、「闘う」というのは人間の本能ではないでしょうか。自分は特に闘争本能が強いし、負けず嫌い。生肉を見るだけで興奮する質(たち)なので(笑)、総合格闘技をやっているときに野生的になれる、素のままの自分でいられるのはすごく貴重な時間です。

尊敬する人は、大学在学中と卒業後に働かせていただいた外務省時代の上司です。その方は誰よりも働き、誰のせいにもしませんでした。このふたつはいまの自分の働き方の指針でもあります。また、起業家の兄から言われた「自分を信じられるやつはいるけれど、信じ切れるやつは少ない」、つまり「常に自分のベストを尽くせ」という言葉も同じく働くうえでの指針です。ランジェリーのデザインを学ぶために留学したミラノでは、学校の教師が何回も私に問うた「ナオは何を描きたいのか?」という言葉が心に残っています。デザインというのは誰かに教えてもらうものではなく、自分のなかの表現の深掘りでしかないのだと気づかされました。人が何を経験し、どう考え、どのように生きていきたいか、それが究極に求めてられていることなのだと。

人は自らの決意を行動に移し、こうと信じた道をひとり闘いぬかねばなりませんが、出会った人たちから教えられたこともまた大きい。振り返ると、いまの自分にすべてがつながっていると実感します。

構成=堀 香織 写真=yOU(河崎夕子)

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