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琵琶湖コース

豊かな自然を利用した名門コース


日本最大の湖、琵琶湖の南側に位置する栗東市に琵琶湖カントリー倶楽部がある。滋賀県の豊かな自然を利用したコースで、琵琶湖はもちろん、近江富士として知られる三上山や比叡山を望んでプレーできる気持ちの良いコースだ。今年の開催を含め2度の日本オープン、日本女子オープン、日本女子プロと日本のメジャー大会を開催している名門倶楽部でもある。

そんな琵琶湖カントリー倶楽部が、去る10月にサステナブルな取り組みについての話題を提供している。それはコース内でのカーボンニュートラル化を実行し、2021年度内にCO2実質排出量ゼロを目指すというものだ。世界的な課題となっているCO2排出問題だが、実現するとゴルフ場としては日本初ということになる。

その可能性について、琵琶湖カントリー倶楽部の横田潤一郎支配人に話を聞いた。


琵琶湖カントリー倶楽部支配人 横田潤一郎

「今年1月から一部で稼働をして、ほぼ計画通りです。実質的には10月からスタートしたのですが、来年3月、本年度内にCO2実質排出量ゼロを実現することは可能だと思っています」

それまでのCO2排出量が約800トン。ゴルフ場ではプレー後に風呂を使用するし、コース内の整備には車両も使う。それをゼロにするのだから、思い切った施策が取られたのは想像に難くない。

栗東市からの要請で開場


琵琶湖カントリー倶楽部は、ヤンマーディーゼルが栗東市(当時は栗東町)からの依頼を受け1959年に開場。

同社は2012年に100周年を迎えた老舗企業だが、創業当時から「技術を使って豊かな社会を」「循環型の社会を目指す」という理念が創業者である山岡孫吉の意識にあったという。

今回のカーボンニュートラルへの試みを技術面で支えるヤンマーエネルギーシステム(以下YES)の山本哲也代表取締役社長も次のように語っている。


ヤンマーエネルギーシステム(YES)代表取締役社長 山本哲也

「もともと創業者が『燃料報国』という言葉を使っているんです。有るものを無駄なくエネルギーとして大切に使っていくというのが一貫したポリシー。それもあって、2012年の創業100周年の頃は日本ではまだ一般的ではなかった、サステナブルという言葉をすでに使っていました」

だからカーボンニュートラル化もその大きな流れのひとつなのだそうだ。

「2007年には廃食油を燃料として、電気に変換するという試みをするために、琵琶湖カントリー倶楽部を使わせてもらっています。このように、捨てているものをエネルギーに換えようという取り組みはかなり長い間やっています」

以前から環境に配慮した運用は行っていたが、「自然共生型ゴルフ場」として正式に運用を始めたのは今年の10月1日から。

カーボンニュートラルだけではなく、堆肥化による植栽などへの有効活用、丈夫な芝の育成、敷地内の持続可能な管理による森林保全などにも力を注いでいるのだ。

カーボンニュートラルへの試み


それでは、この度のカーボンニュートラルへの試みを具体的に見ていきたい。技術面を担当するのはYES。同社はこれまで廃棄物を有効利用するバイオマス発電やエネルギーを最適制御するエネルギーマネジメントサービスを提案するなど、さまざまなエネルギー問題の解決に取り組んできている。


敷地内の太陽光パネル

まず電力だが、これはYESが太陽光パネルを設置・維持管理する仕組みを導入することから開始。再生可能エネルギーである太陽光の発電システムにより、最大310キロワットの電力をクラブハウスに供給している。太陽光パネルは、あるホールの外側にずらっと並べられているのだが、そこには「YANMAR ENERGY FARM 003」の文字がクレジットされている。

この番号は何を意味するのか。YESの担当者に聞くと、このような回答を得ることができた。

「これはヤンマーエナジーファームというお客様の初期投資ゼロでエネルギーサービスを導入いただけるサービスで、琵琶湖カントリー倶楽部で3箇所目になります。この番号を3桁にしているのは、5年でエネルギーサービスを100ヶ所に提供することを目指したいからなんです。現在、栃木県では「001」「002」が稼働中です。まもなく「005」が関西で稼働する予定になっているんです」

太陽光等の再エネや省エネのエネルギーサービスは、ここだけにとどまらず日本全国に広げていくようだ。


ボイラー燃料庫

そして、もうひとつ重要なエネルギー源がボイラーである。これで主に湯を沸かしているのだが、従来の重油を使ったものから木質のチップを燃料に使ったバイオマスボイラーに変更することで大幅にCO2を削減している。また、バックアップとしてLPガスボイラーも設置されており、こちらは災害時のライフラインとなるそうだ。

さらにはリチウムイオン蓄電池もあり、太陽光発電の余った電力を蓄電し、夜間の電力供給や非常用電源として活用される。


バイオコンポスター

また食品廃棄物や刈り取った芝草は、バイオコンポスターという機械にかけられ堆肥化。再利用されている。まさに、大切に、無駄なくエネルギーを使っていることがわかる。


グレッグ・ノーマンの手により改修


もちろん、肝心のコースもこの間に進化している。かつて世界ランク1位にもなったホワイトシャーク、グレッグ・ノーマンが監修。元の設計を尊重しつつ「進化と復元」をテーマに、琵琶湖コースの改修をおこなっている。

200ヤード以上距離は延び、戦略的にバンカーなどハザードを増設。

さらには、ベント2グリーンも耐暑性と耐病性に優れたスーパー7という芝種に統一。アンジュレーションをつけて、より戦略的な攻略しがいのあるものに仕上げられている。1993年以来、18年ぶりの日本オープンでもギアの進化による飛距離アップにも十二分に対応していた様子はゴルフファンの記憶に新しいだろう。

ただ難しくはなっているが、その分ティーイングエリアを多めに設置し距離を調整。ビギナーから上級者まで、幅広く楽しめるようにもなっている。

そして、ここでも新しいシステムが導入されている。いままでホールごとに人の手で行っていた散水を全自動のものに変更。散水量を事務所でコントロールできるので、水の使用量も減り、メンテナンスの手間などの削減にもなる。これも環境対策のひとつである。

高い意識と行動力によって日本で初めてカーボンニュートラルを試み、CO2実質排出量ゼロを実現しそうな琵琶湖カントリー倶楽部だが、本来はゴルフをプレーし、楽しむ場所でもある。横田支配人も「ゴルフで楽しめるところ。いつか行きたいではなく、いつも行きたいというようなコースにしていきたい」と話している。

琵琶湖カントリー倶楽部は名門であるがゆえに敷居が高そうに見えるかもしれない。だが、そもそもが栗東町という地元からの要請で作られたゴルフ場なので、地域との繋がりを重視しているに違いない。そうでなければ、真っ先に環境への配慮など考えるわけがないからだ。

Promoted by ヤンマーホールディングス / text by 福留亮司/ photograph by 高嶋克郎

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