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相場は週1日勤務で日給2.5万円


では、どのような人が自治体副業を希望するのだろうか。岡田は「金銭ではなく、やりがいを重視される人です」と指摘する。

報酬は 「週1日勤務で日給2.5万円」が相場だ。ボーナスやインセンティブなどもない。求められるレベルや任務からみて、決して高い金額とは言えない。

「それでも、市長や市民からの期待を背負って市の改革に携わる重要な仕事を任される。金銭以外に得られるものもたくさんあります」

実際に同社を通して自治体での副業に応募する人は、役員や部長以上のマネジメント層が多く、年収で言えば1000万円以上の高年収帯の比率が高い。

同社が2021年10月に、「エン転職」「AMBI」「ミドルの転職」のユーザーを対象に行った調査でも、その傾向がうかがえる。官公庁・自治体への転職に興味がある人の57%が、興味を持つ理由に「社会貢献」を挙げ、なかでも年収800万円以上の人は、「社会貢献」の選択率が10ポイント以上高くなっている。

「社会的な貢献度合いも影響範囲も大きい仕事です。これまでのキャリアを活かして『より広く社会貢献したい』というモチベーションを持つ人が、その良い出口として自治体での副業を活用しているのではないでしょうか」

自治体副業、実際の働き方は?


では、地方自治体での副業は、実際のところはどんな職場環境で働いているのだろうか。自分の能力やスキルを最大限に活かせるフィールドは整っているのだろうか。気になるところではある。前出の岡田はこう語る。

「副業人材が自ら現場を巻き込んで仕事をしていくという姿勢はもちろん大事ですが、受け入れ側の自治体もコミュニケーションを促進する施策やサポート役をつけるなど、その人が活躍できる土壌を用意できるよう工夫しています」

例えば、奈良県生駒市の場合。2020年4月に副業人材として入庁した尾崎えり子は、千葉県在住で、本業はコンサルティング事業や教育事業などを行う企業の代表取締役社長だ。

生駒市では、教育こども部教育指導課で公立学校のキャリア教育の企画・運営に携わっている。勤務は週2日(月8日)で、うちテレワークが4日間、残り4日間は現地に赴き、実際に児童・生徒に向けて授業を行ったり、学校の先生たちに課題や要望のヒアリングも行ったりする。

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生駒市の学校で教壇に立つ尾崎

同市で働き始めた理由としては「親の文化資本によらず、繋がりと経験を得られるような社会にしたい」という自分の夢を実現するためだという。

「これまでは経営者としてシェアオフィスをつくったり、民間学童のプロデュースを行ったりしてきましたが、社会を変えるためには民間の力だけでは限界がある。公務員として公教育に携わることで、夢の実現に一歩近づけると考えました」と語る。

こう語る尾崎だが、この1年半で約20のプロジェクトを手掛けた。成功例のひとつが、2021年2月に実施した「オンライン修学旅行」だった。市内の小学6年生の担当教員から「修学旅行で広島県に行く予定だったが、コロナ禍で中止になってしまった」と相談を受け、広島電鉄の協力を得て企画したものだ。

プロジェクトが成功したのは、生駒市職員のサポートにあったという。同市での勤務を始めるにあたり、エース職員がサポート役についたのだ。

「基本的にリモート勤務なので、現場と橋渡しをしてくれる職員の存在がありがたかったです。企画に対しても、法的に難しいポイントや必要な情報をこれまでの知見をもとにアドバイスとしていただきながら、一緒につくりあげてきました」

文=堤美佳子

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