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2期8年の任期中、越は約3000人分にあたる保育園など54園を増設。大津市内の待機児童はゼロとなり、5歳以下の子どもを持ちながらフルタイムで働く女性は70%増加した。子育て環境の改善は、大津市の人口増加にもつながった。

また、自動運転、MaaS(Mobility as a Service)、いじめAI予測等のテクノロジーを導入しスマートシティを進め、競輪場跡地の再生、ガス事業コンセッション等の新しい公民連携を取り入れた。そのほか市の事業・補助金の見直しによる132億円の歳出削減など、幅広い領域で改革を実行してきた。

こうした高い成果の背景には、圧倒的な行動量があった。そして、弁護士とは違うやりがいを感じたという。

「弁護士の頃は、常に自分と同僚や他人を比較していました。でも市長になったら、自分と誰かを比べる必要はありません。ただひたすら市民と向き合えばよかった。それが多くの行動につながったんだと思います」

大きな仕事は「10年」でやり切る


大津市長の任期を終え、まもなく2年が経とうとしている。

政治家の看板を下ろした越は、三浦法律事務所でスマートシティや公民連携を扱う弁護士として、また友人の松澤香弁護士とともに立ち上げた、女性役員の育成や紹介を行うOnBoardの経営者として、精力的に活動を続けている。

現在の活動のほとんどは、「市長としてやっていたことの続き」だそうだ。市長時代とは異なるアプローチで、女性が自由に選択できる社会の実現に、今も尽力している。

燃え尽きることなく、走り続けられるのはなぜなのか。その秘密は「10年単位の人生設計」にあるという。

「振り返ってみると、今までの人生は約10年単位でステージを変えてきました。市長になる前は法律家として10年、市長になってから任期後の期間を含めて10年。現在取り組んでいることも、10年以内には結果を出したいと思っています。期間を決めているのは、そのほうが情熱が持続するから。自ら期限を切ることによって、集中して取り組めるんです」

次の10年はどう過ごすつもりなのか。そう問うと、越は迷いなく「白紙です」と答えた。

「自分の人生が全部決まってしまうのは嫌なんです。先が見えてしまうと窮屈だし、ワクワクしませんよね?できるだけ自由でありたい。これが私の原動力のような気がします」

やると決めたら、徹底的にやる。でも、自由な心を持つことも忘れない。白紙の未来を堂々と掲げるリーダーの背中には、人生を心から楽しむ人の輝きがあった。

文=一本麻衣 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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