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「以前、聴覚に障がいがある方の前で講演をしたことがあるんですが、そのあとの懇親会でみなさんが遠くの人とも手話でやり取りしているのを見て、心からうらやましいと感じました。スキューバダイビングをしていても会話できるんですよと言われ、なるほどと思ったものです。

この例からも分かるように、障がいでも何でも、すべての事柄には裏表があって、どんな人の個性にも良い面が必ずある。多様な人に出会う機会が少ない社会を作ってしまったから、自分と違う人に会うことを苦手だと思う人を増産してしまったのが日本の現状です。多様な人と出会って話せば必ずわかりあえるはずです。

東京では、2021年に延期となったオリンピック・パラリンピック開催に向けて新たに準備が進んでいますが、みんなで応援にいって素晴らしさを感じられると素敵ですね。特にパラリンピックは、今までなかなか身近に出会えることがなかった障がいのある人とのつながり直しのきっかけになるといいと思っています*」*2020年4月15日掲載記事

障がいのある方を見かけた時、なにかお手伝いできないかという気持ちがあっても、なかなか声をかけることができない人が多いと聞く。

「日本人はすぐそばに人がいても、全然知らんぷりですよね。でも海外に行けば、電車で席に座る時に隣に人がいたら必ず『Hi(ハイ)!』などと声をかけます。それが自然なんです。駅の階段の前にベビーカーを押しているお母さんがいたら『手伝いましょうか?』とひとこと声をかけるだけでいいんです。『大丈夫です』と言われるかも知れないけれども、手伝って『ありがとう』と言われれば嬉しいじゃないですか。お母さんは手伝ってもらって幸せになれるし、手伝ったこちらも幸せになれる。

このように幸せはうつるもので、循環していきます。それは対人関係の中だけではなく、自分の中でも循環していくものなんですよ。さっき説明した幸せの4因子も1つの因子が実現できれば、2つめの因子も実現可能になる。幸せな活動をしていれば、雪だるま式に幸福度は高まっていくもの。この4因子を理解して、みんなで実践していってもらいたいなと思います」


BAZA Production / Shutterstock.com

アメリカのある研究によると、企業に勤める幸せな社員の創造性は、幸せではない社員の3倍高く、生産性は3割、売り上げも3割高いという結果が出ているそうだ。幸せであることは個人の人生のみならず経済活動にも影響するとは驚きだ。

前野氏が提唱する4つの因子はシンプルで覚えやすい。ただ、人によっては実践に少々ためらいがありそうなものもある。しかし、できそうなところから、一歩足を踏み出すつもりでやってみると、いつの間にか自分も周囲も変わっているものなのだろう。さっそく、今日誰かに「ありがとう」を伝えることから始めてみるのもよさそうだ。


前野隆司◎1962年、山口県生まれ。東京工業大学大学院修士課程修了。博士(工学)。キヤノン株式会社を経て、カリフォルニア大学バークレー校客員研究員、ハーバード大学客員教授、慶應義塾大学工学部教授などを歴任。現在、慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科教授。ロボットや脳科学の研究を出発点として、心理学、社会学、哲学まで、分野を横断して研究しつつ、幸福学・感動学の日本での第一人者として、個人や企業、地域と、各フェーズで活動。著書に『脳はなぜ「心」を作ったのか:「私」の謎を解く受動意識仮説』(ちくま文庫)、『幸せのメカニズム:実践・幸福学入門』『感動のメカニズム:心を動かすWork&Lifeの作り方』(ともに講談社現代新書)ほか多数。

文=定家励子(パラサポWEB) 写真=吉永和久

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