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市場とジェネレーションYのお金に関する差し迫った問題に注目


ナイジェリアを訪れていたのは、人口は世界の2%を占めるだけなのに、妊産婦死亡例の世界全体に占める割合が11%という同国の状況について理解を深めるためだった。しかし、スタチェルは修士論文のテーマ以上の何かをつかんでナイジェリアをあとにした。自分の助けが求められていると感じたのだ。

スタチェルは、カリフォルニア州バークレーの自宅に戻ると、太陽光発電技術者の夫ハル・アロンソン(Hal Aronson)に相談しながら、コファン・ガヤン州立病院と、そこで働く医師たちの力になれる最善の方法は何かと考えた。夫妻は協力しあって、安全な出産に不可欠な分娩室や手術室などの病院施設に電力を供給できる太陽光発電システムを考案した。

初めてナイジェリアを訪れてから6カ月後、スタチェルは、コファン・ガヤン州立病院に戻り、持参した発電システムと血液保冷庫を設置した。


(c)We Care Sola

その後の1年間で、コファン・ガヤン州立病院の妊産婦死亡率は70%減少した。入院患者も増え、スタチェルは自分がやるべき仕事はそれで終わりだと思った。

51歳でソーラーベンチャーを設立


その考えが変わったのは、彼女に電話がかかってきたからだ。

「規模の小さい診療所で働くほかの医師たちから連絡が入り、こう言われたんです。あなたはコファン・ガヤン州立病院を助けてくれた。でも、自分たちも電気がなくて困っている。助けてくれないか、と」。スタチェルはそう振り返る。

ひとつの病院が抱えていた問題を解決しようとスタートした取り組みは、簡単に持ち運びができるキットに成長した。スタチェルは夫と協力して、コファン・ガヤン州立病院に初めて発電装置を運んだときに使ったスーツケースを使い、何回か工夫を重ねることで、ついには規模を拡大して展開できるデザインをつくりあげた。

ナイジェリアの地に初めて足を踏み入れてから2年後。当時51歳だったスタチェルは、非営利のソーシャルベンチャー「We Care Solar」を立ち上げた。そして、機内持ち込み可能なサイズのスーツケースに、充電式ヘッドライトと胎児心拍数モニター、携帯電話の充電器などを詰めてセットにした「ソーラー・スーツケース」を提供している。

ソーラー・スーツケースはこれまで、行政支援が行き届いていない世界各地の医療施設およそ6200カ所に届けられている。それによって恩恵を受けた母親と赤ちゃんは700万人以上を数える。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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