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だからこそ、作品は展示するだけでなく、Tシャツやステッカーなど購入できるプロダクトに昇華。友達とお酒を飲んでいるときに着ていたら、「そのTシャツなんなの?」とツッコまれるような、そんなコミュニケーションをつくりたいのだという。

「現代アートや映画など、他にも社会問題を鮮やかに切り取る手段はありますが、それらも主に触れられるのは美術館や映画館の中です。外に出て日常生活に戻れば忘れてしまいますよね」

「何もできないと何も残らない」だからやる


そんな古谷の考え方に共鳴し、アドバイスをしたのがmethod.の山田だった。

「古谷さんの作品は、社会にモチベーションを投げかけようと生まれたもの。だからこそ、もっとカジュアルに多くの人の日常をジャックしていったほうがいいのでは、と提案しました」

2人はまず、コロナ禍になってすぐの2020年5月に個展を開催。目玉となった作品「EASY LIFE.」は、ピースサインをハサミで切り落としたようなビジュアルで、「新型コロナによって今までの生活が切り取られたけれど、コロナ前の生活は便利すぎる人間都合の楽勝な生活だったんじゃないか?」という疑問を呈した。

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新型コロナの感染拡大後すぐに制作した「EASY LIFE.」

そして2021年。「今年vermillionと何かをやるならば、テーマは“選挙”かなと話していたんです。そこへ衆議院解散のタイミングがあったので、このご時世も加味して『Go To VOTE』をやろう、と思い立ちました」という。これが約1カ月半前、9月頭ごろのことだ。

これだけのスピード感でアイデアを形にする、その推進力の源にはコロナ禍での経験がある。「僕の仕事はイベント関連のものも多いのですが、コロナの影響で軒並み形を変えたり時期を変えたりしなくてはならなくなりました。無理を通してでもやらないと、実現しない状況は数えきれないほどあったんです。いろんなことに弾力性をもってスピーディーに動いてきた1年半でした」

変化の多い時代だからこそ、やれることをやれる時に素早くやる。やらないという選択肢はない。「当たり前ですが、何も動かなければ社会のなかで認知されませんよね。何もできないと何も残らないということを、コロナ禍で痛感してきました」

文=北本祐子 

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