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ヤードNYCは、女性の視点をマーケティングキャンペーンに取り入れるという、当時としては新しいコンセプトに挑戦した。幹部クラスの役職に就く女性がほとんどいなかった時代。成功するには、バーンスタインはもっと自分を信じなくてはならなかった。

「私たちはみな、これまでに道を切り拓いてくれた女性先駆者たちの恩恵を受けています」とバーンスタインは微笑む。


(c) YARD NYC

「いまの女性起業家は、取締役室に足を踏み入れたときに、あの頃の私よりも多くの女性を目にしているはずです。たぶん私のひと世代前だと思いますが、女性たちは、男性社会に挑もうとして努力してきました。私自身は一度もそんなふうに挑戦したことはありません。自分らしさを失わないように心がけただけです。つまり、異なるタイプのリーダーシップ、細やかなリーダーシップ、女性リーダーらしいやり方で人を導こうとしたのです」

開業して気づいた“ギャップ”


バーンスタインは、サンフランシスコのマーケティング企業タトゥー(Tattoo)のシニア・ストラテジストとしてキャリアをスタートした。その後、米俳優ロバート・レッドフォードが所有する「サンダンス」のブランドガーディアンに転身し、TVチャンネルや映画祭、カタログ、リゾートクラブ、スパを含むブランドの保護・管理にあたった。

顧客の利益を最優先させる「クライアント・ファースト」という姿勢から、ヤードNYCを開業してクライアントにサービスを提供する立場へと変わると、バーンスタインは、市場に実質的なギャップが存在することに気がついた。

「女性が経営に携わるエージェンシーが少なかったのです。クライアントと本気で協働する方法を理解しているエージェンシーが少ないこともわかりました。そして、広告主が目指している理念を、キャンペーンに融合できるエージェンシーが多くないことも。目的を融合させるというのは、私たち独自のアイデアです。(中略)ヤードNYCを立ち上げたとき、私たちは時代を先取りしていたのだと思います」

ヤードNYCは、女性が経営するエージェンシーの先駆けとして、憧れの的である美容やファッション業界のラグジュアリーブランドの広告を手がけてきた。

バーンスタインは、広告キャンペーンを検討する前にまずブランドが目指すところが何かを考える手法をとるが、企業のなかには、実際のキャンペーンのピッチ前にブランドのコアバリューを知ろうとするそのやり方を嘲笑するところもあった。

しかし、デジタルメディアが誕生すると、バーンスタインが言い続けてきたことが実現した。ブランドは、伝えるべき独特のストーリーを持ち、競争相手との差別化を図る必要があったのだ。

「デジタルの世界では、ブランドはパブリッシャーに早変わりします。デジタルでは、ブランドは常に接続されていて、休む暇なくコンテンツや視点が求められる。ですから、私たちが時代を少し先取りしたのだとしたら、業界があとで私たちに追い付いてきたということでしょう」。バーンスタインは、その後も広告業界の先駆者として走り続け、ジェンダー不平等を克服してきた。

竹のようにピボットを受け入れる


ヤードNYCが「知性、美、勇気」の追求を柱に掲げるうえで、バーンスタインがそれを維持するひとつの方法として実践しているのが「気功」だ。気功とは、呼吸法や姿勢、瞑想、誘導イメージ法などのさまざまなかたちを通じて、生きていく上で欠かせない活力を鍛錬する伝統的な健康法である。

「気功の哲学は、流れに身を任せることです」とバーンスタインは説明する。「気功では、竹のように方向転換(ピボット)を受け入れます。竹はしなりますが、折れません。私はそうした気功の精神を、できる限りビジネスにも応用するようにしてきました」

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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