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Brandon Bell/Getty Images

米国では少なくとも2州の公衆衛生局が医療従事者に対し、供給不足が続く新型コロナウイルスの治療薬、抗体医薬を「最もリスクの高い」患者に優先的に使用するよう指示していることが分かった。

テネシー州の地元紙テネシアンによると、同州公衆衛生局は抗体医薬を「ワクチン未接種の感染者、または65歳以上の高齢者、免疫不全の人」に使用することとしている。ワクチン接種を受けた人は大半が感染しても治療を受けられないことになり、接種完了者からは、これに対する批判の声があがっている。

同局の広報担当者はフォーブスに対し、「州が定めたガイドラインは、供給不足が続く間の優先順位のつけ方についての国立衛生研究所(NIH)の提言に従ったもの」だと説明。「推奨」しているものであり、「最終的には医療従事者による臨床判断で、最も危険にさらされている人が確実にこの治療を受けられるようにする」という。

一方、アラバマ州公衆衛生局の関係者もフォーブスの取材に対して、抗体医薬は不足しており、この薬による治療は必要とする「すべての患者」に提供できるわけではないとコメント。その上で、州内の医療機関に「リスクの高い患者を優先的に治療するよう要請している」ことを明らかにしている。

この関係者によれば、最も危険にさらされているのが誰かを決定するのは、個々の医療機関だ。だが、同局のウェブサイトでは、この薬による治療を受けられる人は一定の基準を満たす人に限定され、さらに使用が推奨される人は、年齢によっても異なると説明されている。

例えば、同州では18歳以上の患者の場合、この治療を受けられるのは「年齢65歳以上」、または「糖尿病や心臓病などの基礎疾がある人」、「肥満度(BMI)25以上の人」となる(同州の成人は63%がBMI25を超えており、過体重または肥満に該当する)。

南部だけで供給量の7割を使用


テネシーとアラバマの両州はいずれも、抗体医薬に大きく依存している州の一つ。南部の州で需要が急増したことを受け、連邦政府はこの薬について、各州への割り当て制とすることを決定した。

米ニュースサイトのポリティコによると、抗体医薬はそれまで、両州をはじめワクチン接種率が全米の平均を下回るテキサス、フロリダ、ミシシッピ、ジョージア、ルイジアナなどの州で、供給量のおよそ70%を使用していた。

保健福祉省の高官はフォーブスに対し、連邦政府は供給量を引き上げるために努力しているが、供給不足に対応するため、当面は一時的に各州への割り当て制とするほかないと説明している。

ただ、連邦政府のこうした対応は、入院者数を抑え込むため抗体医薬に頼ってきた州にとっては大きな打撃であり、各州の保健当局は、強く反発している。感染者が急増していたフロリダ州のロン・デサンティス知事(共和党)は、供給量が「大きく減少」したことで「大きな混乱」が生じているとして、バイデン政権を非難している。

ただ、連邦政府のこの決定により、すべての州が影響を受けているわけではない。テキサスとミシシッピ両州の保健当局は、連邦政府によって割り当てられた量で、需要に対応することができているという。

編集=木内涼子

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