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「キッチンをシェア」、リスク削減という発想


さらにコストを抑えられるのが、複数の料理人でキッチンをシェアする「シェアキッチン」だ。時間や曜日などで契約者が入れ替わることもあり、短期の契約も可能な場合もあるため、週末起業など時間に融通を効かせて飲食店を開業できる。コミュニティスペースとしても機能するため、ジャンルを超えて料理人たちの交流が生まれる可能性もあり、新たな料理への発想や新規顧客の獲得が見込める。

国内のシェアキッチンには、たとえば2020年にオープンした「BeChef SHIBUYA」がある。備品、必要機材などが用意されているため初期投資不要、また契約が1カ月更新でトライアル・チャレンジができる、などリスク回避ができる点で人気だ。

では、「クラウドキッチン」は「シェアキッチン」とどこが違うのか。定義はまだ定まっていない感があるものの、シェアキッチンが「複数の料理人でシェアされる厨房1つ1つ」を指すのに対し、クラウドキッチンは「建物全体」がシェアキッチン、つまりシェアキッチンの集合施設を指すようだ。

クラウドキッチンでは月額のサブスクリプションモデルで利用できるケースが多い。経営やマーケティングノウハウを提供してくれる場合も多く、料理人が料理に集中できる環境が整う。韓国最大級のクラウドキッチンを展開する「WECOOK」が21年10月にオープン予定の「KITCHEN WAVE」など、日本では市場が拓かれたばかりだ。

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Getty Images

ニューヨークではコロナ禍以前から


一方、海外市場ではいち早くゴーストキッチン・ゴーストレストランが定着していた。ゴーストレストラン発祥の地と呼ばれるニューヨークでは、スタートアップ企業「グリーンサミットグループ」が2013年に創業、14種の飲食ブランドを展開するなどコロナ禍以前からゴーストレストランが盛んだ。ウーバー共同創業者で元CEOのトラビス・カラニック氏も2019年に「クラウドキッチンズ」を展開している。

中国では、北京を本拠にしたスタートアップ「パンダ・セレクテッド」が2016年に設立された他、先述の通り韓国でも人気を集めており、コロナ禍を機に、世界中で加速することとなった。全世界のゴーストキッチン市場は2030年までに1兆ドル(約103兆円)規模に成長するとも言われている。

コロナ禍の自粛ストレスも増え続けている昨今、ゴーストレストランの普及は、日常に新たな楽しみをもたらしてくれる。「お取り寄せ」などEC事業も今後レッドオーシャン化していくことが予想される。飲食業態の多様化は、ご当地料理や新ジャンルの料理など新たな料理との出会いにも繋がるのかもしれない。

文=齋藤優里花 編集=石井節子

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