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グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今


Netflixと新たなパートナーシップ契約を結ぶ


今年3月にオンライン上で開催された世界最大級のクリエイティブの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウス・ウェスト)」にションダランドのコンテンツ責任者でエグゼクティブ・バイス・プレジデントのAlison Eakleが登壇しました。その際、彼女は自分たちの独自性を次のように語っていました。

「コンテンツづくりにおいて、ションダランドが重要視していることがあります。それは、前に見たことがあると思われるような物語を、全く異なる視点で、なおかつションダランドらしい視点から伝えることができているのか。これをひたすら問いかけ続けています。誰も探求してこなかったような物語の世界に、視聴者を連れていくことができたとき、つくり手のわれわれ自身も達成感を味わうことができるのです」

これはションダ・ライムズがこだわり続けてきたクリエイティブの方針に則ったものであることは明らかです。彼女自身が2016年のMIPCOM(国際テレビ番組見本市)で「パーソナリティ・オブ・ザ・イヤー」の受賞記念スピーチで話した内容とも重なります。私が現地で聞いた彼女の話は次のようなものでした。

「同じストーリーを書いている感覚は一切ありません。描いているのはドラマに登場するキャラクターの旅です。いま、メレディス・グレイ(グレイズ・アナトミーの主人公)はどの道を進んでいるのか? どうすればそのストーリーを面白く感じてもらえるのか? こうした疑問から物語をつくり出しています」

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ションダランドが手掛けたロングランヒットドラマ「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」(Getty Images)

「ブリジャートン家」では、ライムズ自身ではなく、ションダランド生え抜きのエースであるクリス・ヴァン・デューセンにショーランナーを任せています。ションダランド作品のスピリットを持った新たなコンテンツをつくり出していくために、ライムズを継ぐショーランナーを育てることにも力を入れているのです。

2021年7月8日には、ションダ・ライムズとNetflixとの間で、クリエイティブコンテンツに関する契約がさらに拡大されたことが発表されました。これにより、Netflixとションダランドは新たなパートナーシップを組み、ションダランドは長編映画をはじめ、将来的にはゲームやVRなどのコンテンツまで幅広く独占的にプロデュースし、Netflixはそれに投資をしていくことになります。

ショーランナーというクリエイティブ重視の体制が、いまあらためて求められていることを象徴する出来事です。ストリーミングの普及によって、コンテンツ飽和の状態にも陥ってしまっているなかで、ションダランドの快進撃には、コンテンツづくりに対するヒントがいろいろと隠されています。

連載:グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今
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文=長谷川朋子

ストリーミングネットフリックス
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