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これらの巧みな現代的要素の組み合わせこそ、製作を手掛けたションダ・ライムズ率いるヒットメーカープロダクション、ションダランドの手腕と言えます。

Netflixオリジナルのドラマシリーズには、1話につき10億円前後もの巨額の製作費をかけたプレミアムな作品も多く、イギリス摂政時代の衣装や調度品を煌びやかに再現した「ブリジャートン家」も、相当の製作費がかかっていると言われています。シリーズのヒットで、かけた分だけ無駄なく成功へと導く力が、ションダランドにはあることも証明したのです。

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BRIDGERTON (L to R) PHOEBE DYNEVOR as DAPHNE BRIDGERTON and REGÉ-JEAN PAGE as SIMON BASSET in episode 101 of BRIDGERTON Cr. LIAM DANIEL/NETFLIX (c)2020

ショーランナー体制を築いたションダランド


「ブリジャートン家」は、9月19日(現地時間)に発表される2021年のプライムタイム・エミー賞では12部門でノミネートされるほど、テレビ界最高峰の栄誉とされる賞でも注目されています。

もちろんションダランドにとっては、エミー賞はこれが初めてはなく、代表作の「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」で数多く受賞も経験済みですが、Netflixオリジナルのドラマシリーズで評価されることの意味は大きいはずです。

なぜなら、「ブリジャートン家」はションダランドが初めて手がけたNetflixオリジナルのドラマシリーズであり、今回のエミー賞の受賞で、単なるテレビ製作会社から「グローバル・メディア・カンパニー」と呼ばれるに相応しいプロダクションとなるきっかけにもなるからです。

同時に、ストリーミング時代でも確固としたショーランナー体制を持つションダランドは、その強みを十分に発揮できることを内外に知らしめることになります。

ショーランナーとは、コンテンツのクリエイティブの根幹を築き、予算化から脚本づくり、撮影現場に至るまで、ドラマ制作を包括的に管理し、視聴者に届けるまでの責任を担う人物のこと。

ションダランドを率いるションダ・ライムズは、脚本家、クリエイター、プロデューサーとして、このショーランナーという地位を確立し、「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」の成功で、実際に世界で最も影響力を持つショーランナーの1人として知られるようになりました。

ショーランナーは、日本のドラマ界では馴染みのない役割ですが、アメリカではいまやとても重要なものとなっています。近年、世界的なヒット作品を生み出している韓国でも、このショーランナー体制は取り入れられています。

ションダ・ライムズは、「グレイズ・アナトミー恋の解剖学」が軌道に乗り始めた2007年ごろに、仲間と共にションダランドを立ち上げ、ショーランナーによる制作体制を強固なものにさせてきました。

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ションダ・ライムズ(KWAKU ALSTON/NETFLIX)

「スキャンダル」「殺人を無罪にする方法」「プライベート・プラクティス 迷えるオトナたち」といったABC系列でドラマを次々と製作し、クリエイティブとビジネスの両立を図りながら、ションダランドはショーランナーという制度を全面に取り入れ、メディアカンパニーとして成長していったのです。

文=長谷川朋子

ストリーミングネットフリックス
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