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長谷川雅彬氏

──感受性を鍛えるには、どのようなトレーニングがあるのでしょうか。

長谷川:ものすごく簡単で、そこに意識を向けるだけです。例えば、昔僕が働いていた丸の内エリアは、朝日と夕日がすごく綺麗なんですよ。ただ、みんな忙しくて目の前にあるのに気づかない。今の時代、ずっとアラートが鳴っていて何かに没頭できる時間は少なくなっています。

だからこそ、10分間空を見上げるとか、公園に寝っ転がるとか、自分の中に感じるものに意識を向けてみるようなアプローチがあっても良いかもしれません。感受性は、特にアーティストの場合は、才能と捉えられることが多いのですが、実際のところ、練習すれば誰でも高めることができます。

──合理とか数字で占められている脳内に余白をつくってあげると、もともともっていた感受性が拡張できたり、それがもう一回呼び起こされたりするかもしれませんね。

長谷川:合理性といえども、それは自分の働いている会社にとって合理的であったり、既存のシステムにとって合理的であったりと、普遍的に合理的なものがあるわけではないと思います。同じひとつのパラダイムで見ていると、新しい視点は見えてきません。だからこそ、合理性というものを一旦横において、そこから一歩出て考えること。それが、AIの話同様、新しい発想や視点につながってくると思います。

──次なるAIを使った作品など、近い未来の展望を伺いたいです。

長谷川:AIを使って、日本社会の無意識みたいなものをうまく視覚化したいと思っています。日本人が思っている日本文化の良さと、日本の本当の美意識にはズレがあると思うんです。

例えば、左右対称であることは合理的に思えますが、日本古来の建築は左右対象に配置されていません。昔の日本の人たちは、左右対称や完璧は、言ってみれば未熟さの現れだと考えていたんですね。つまり、そういうものを求める心が未熟だと。日本には散っていく桜をきれいだと感じる心があります。余白の美や滅びる美、幽玄や侘び寂びみたいな感性を視覚化したいです。

また、日本の方ともプロジェクトができたらなと。日本でもこういう実験的なことをやる人が増えたらいいなと思います。


⾧⾕川雅彬(はせがわ まさあき)◎アーティスト、コンサルタント。スペインを拠点にアーティストとして活動しており、2018年には欧州最⼤のカリグラフィー作品(1926平⽅メートル)を制作した他、2021年には作品とアーティストが時間と共に進化する世界初のAIアート作品(What Was, Is, Or Will Be)を制作。また、Maria LafuenteとのコラボレーションによりMercedes-Benz Fashion Week Madrid 2021にも参加。企業に向けて創造性開発のプログラムを提供しており、⾃⾝の持つオンラインコース149カ国に1万⼈以上の受講者を持つ。Thinking Headsの選ぶTop 100 Speakers in Spain 2018や欧州トップのビジネススクールIE Business School発表のIE Knowledgeにも選出されている。

インタビュー=谷本有香  文=伊藤みさき

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