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15歳の彼女が創刊した『Real』は、同世代のティーンエイジャーたちに社会運動を紹介することを目的とした雑誌だったが、その目論見は見事に成功し、15万人の月間購読者を獲得した。2016年には、ホールフーズ・マーケットなど全米展開する40の小売店で販売されるようになり、プレザントはフォーブスの「30 UNDER 30」メディア部門にも選出された。

『Real』は120ページの雑誌で、英ヴァージン・グループ創業者リチャード・ブランソンや歌手アリシア・キーズといったセレブたちが、性的搾取目的の人身売買や海洋保護など、大人向けのテーマを真剣に語ったインタビュー記事を掲載していた。競合誌として横に並ぶ雑誌が、ディズニーチャンネル・スターのゴシップやクイズなどを取り上げているのとは大違いだった。

何よりも驚くのは、『Real』の発行にあたって、プレザントはフルタイム従業員をひとりも雇わず、すべて自分でこなしていたことだ。さらに言えば、1日12時間働き、食事はテイクアウトのみ(ほとんどがホットドッグ)、『Real』以外では友だちがまったくいなかった。



「同級生がプロムに着ていくドレスを選んでいるとき、私は全米規模のビジネスを構築しようとしていました」と、プレザントは振り返る。

「あのころはそれが当然だと思えたのです。若い起業家向けのインキュベーターやプログラムに参加すると、自分と同じ考え方をする人たちの話しか聞こえてきませんでしたから」

“自分”を台無しにしてしまった


けれども彼女は、ティール・フェローシップや「30 UNDER 30」、創業者というアイデンティティのせいで、オーシャン・プレザントという人間が台無しになってしまったことに気がついた。若者は、ベンチャーキャピタリストの厳しい目にさらされることなく過ちを犯すことを許されるべきだ、と彼女は悟った。

「大きな恐怖や不安に苛まれていました。当時の私のアイデンティティ、自分が何者であるかは、自分が築き上げてきたものと固く結びついていたからです。私は、雑誌だけの少女だったんです。私の人生のあらゆる面が、起業家という立場で定義されていました。そこから立ち去ることは、すべてを捨てるということでもありました」

プレザントは結局、ロサンゼルス行きの片道切符を買い、『Real』の発行を完全に中止した。ロサンゼルスでは、情熱を傾ける音楽の道をできるだけ追求すること以外、計画を立てていなかった。

2015年には、アコースティックの弾き語りをするシンガーソングライターとして、レゲエバンド「Soja」の全米ツアーで前座を務め、テネシー州で毎年開催されているボナルー・フェスティバルの舞台にも立った。17歳のときだった。

「自分のなかに、これまで探求してこなかったまったく別の一面があることに気がつきました。それまでは可能な限りのすべてをスタートアップに注ぎ込んでいましたから」。驚きだったのは、友人や家族、投資家たちが、人生の新たな道を切り開こうとしている彼女を応援してくれたことだ。

音楽に打ち込み、初めての真剣な恋が終わって再び精いっぱい歩き始めたときに起きた変化を、アコースティックギターで歌にした。また、セラピストとライフコーチを見つけ、毎日欠かさず日記を書き、瞑想し、自分のために行動するすべを学んだ。

翻訳=遠藤康子/ガリレオ

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