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SDGsの基本である「尊厳」の概念を世界へ


下着業界ほど、大手企業の寡占が続いた業界は珍しいかもしれない。

ところがナオランジェリーは、2018年に日本橋高島屋での常設販売を開始。個人デザイナーのブランドとしては異例の抜擢だった。同年、テレビ番組に出演したことが追い風となり大衆の認知を獲得。コロナ禍では、ノンワイヤーブラの売り上げが好調だという。

ここまでブランドを継続できた理由について、栗原は「ナオランジェリーの展開とランジェリーマーケットが変化するタイミングが重なった影響が大きい」と分析している。

2020年には、国内女性用下着の売り上げにおいてユニクロがワコールホールディングスを抜いて首位になった。自分の体のコンプレックスを隠すためではなく、心身ともに着けて心地よい下着を選びたい──。業界の地殻変動の背景には、そんな女性の考えの変化が透けて見える。

こうした市場の動向は認識しつつも、栗原はランジェリーデザインを考える際、あまり外部要因にとらわれることはないそうだ。

「戦略を考えるときは、『こうすれば売れる』とか、『この色が流行っている』とか、つい外側ばかりを見てしまいがちだと思います。でも私は、自分の経験や考えていることを深掘りすることによってオリジナリティを出したい。一番大事なものは自分の心の中にあると信じているんです」

自分自身の内面を深く掘り下げて生み出したからこそ、そのデザインには多くの女性に愛される普遍性が宿るのだろう。今後は海外展開も見据えている。栗原が大切にしている「尊厳」の概念を、ナオランジェリーの下着とともに広めていきたいという。

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「尊厳とは、『全ての人に生きる価値がある』という考え方です。今、SDGsのさまざまな問題が注目されていますが、尊厳はすべての問題解決の基本となる概念です。まずは尊厳の重要性をすべての人が理解することによって、誰もが他人にコントロールされることのない、お互いを尊重できる社会をつくれると考えています」

そんな栗原が、何かの障壁を乗り越えたいと奮闘している女性たちに送りたいメッセージを尋ねてみると、自分自身の経験を振り返りながら、噛みしめるようにこう話してくれた。

「すべての女性に、自己愛を持って社会の中で主体的に活躍してほしい。自分自身を愛せることは、本来とても素晴らしいことですから」

文=一本麻衣 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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