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自分だったらどんな下着を売りたいだろう? 売り手の目線で商品を眺めるうちに、栗原はあることに気づく。

自分が好んで身につけてきた海外の下着は、デザインは優れている。でも、サイズ展開が少なかったり露出が激しすぎたりと、日本人の普段の生活には馴染まないものも多い。

「それなら、海外の下着と日本の下着の良さを取り入れた商品を自分でつくってしまえば良いのでは?」

自分のランジェリーブランドを立ち上げよう。新たな目標を手にした栗原は、夢へと向かう道を力強く歩み始めた。


ナオランジェリーの「Hafsa」シリーズ。オスマン帝国のハフサ母后をイメージしたレース使いになっている

原動力は、自分の存在意義を証明したい気持ち


夢を見つけたはいいものの、外交官を目指していた栗原は政治学部出身。アパレルブランドの立ち上げに必要な知識はゼロに等しかった。

まずはマーケティングから学ぼうと、求人情報誌で見つけた出版社でマーケティングのアルバイトを始めた。その後知人の誘いでコンサル業界に移り、事業の立ち上げやブランディングに関する知識を一通り身につけた。

あとひとつ、起業に足りないもの。それは下着をデザインする力だった。コンサル会社の退職と同時にイタリアに留学し、1年間ランジェリーデザインを学ぶと、帰国後、満を持してfor Graceを立ち上げた。

このときの栗原は29歳。決意の日から6年間、夢を手放すことなく歩み続けてこれた原動力とは何か。

「私がこの社会にいる意味を証明したい、という想いです。根底にあるのは、子ども時代に感じていた『自分はここにいなくてもいいんじゃないか』という気持ちですね。自分が存在している意義を心の底から求めるからこそ、夢に執拗に食い下がったんです」

栗原の立ち上げた「ナオランジェリー」は、女性の誇りや尊厳を考えることをブランドコンセプトとしている。このテーマを設定したのには理由があった。

「セクハラやパワハラの被害に遭ってきた女性はたくさんいると思います。私も会社員時代にそういう経験をしましたが、自分を傷つけるような発言をされたときでも、お気に入りの下着をつけているとおっぱいの奥の心まで守られるんです。

自分を大切に思えるからこそ、自分を守れる気がする。反対に、自分が言ってはいけない言葉を言いそうになってしまったときも、ぐっと抑えることができる。私にとって下着はお守りのようなもの。『心のプロテクター』として、ナオランジェリーの下着を活用してもらえたらと思いました」

ナオランジェリーのデザインには、1つずつ名前がつけられている。「Hafsa―気高さを纏い、口元に微笑みを―」「Stay who you are―ただただ、本来のあなたのままでいて―」。美しいデザインに添えられた短いメッセージ。それは全て、栗原から女性への応援歌なのだ。

文=一本麻衣 写真=小田駿一 編集=松崎美和子

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