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Carl Court/Getty Images

2021年の東京オリンピックは、新型コロナウイルスへの対応を迫られるだけでなく、フェイクニュースの波にも襲われている。

一部のニュースメディアは、五輪の出場選手らが、選手村でのセックスを防止するために製作された、段ボール製のベッドで寝ることを強制されていると報じている。

7月18日のニューヨーク・ポストは「選手らが、感染拡大防止のためのアンチセックス(性関係防止)ベッドで寝なければならない」と伝えている。記事によると、このベッドは一人分の重さしか耐えられず、ちょっとした刺激でバラバラになってしまう危険性があるという。

五輪の関係者が、選手の性行為を妨害するために、粗末なベッドを考案したのだとしたら面白いが、これは完全な作り話だ。このフェイクニュースは、ツイッターで約11万人のフォロワーを持つJohn Aravosisという人物のツイートなどを通じて広まった。そこには、「東京五輪の選手村のベッドは、セックスによる感染拡大を防止するために、段ボールで作られており、一人以上が乗ると壊れる設計になっている」と書かれていた。

しかし、この段ボール製のベッドは実在するものではあるが、セックスが原因で壊れるようには設計されていない。このベッドは、新型コロナウイルスが発生するずっと前に、五輪のリサイクル活動の一環として考案された。

問題のベッドは、2019年9月にはUSAトゥデイで、2020年1月にはAPニュースで紹介されていたが、その際にはアンチセックス効果については一切触れられていなかった。

セックス防止ではなく環境への配慮


実際、このベッドは約200キロの重量を支えることができ、木製のものより頑丈だと言われている。段ボール製のベッドは、以前から災害時の仮設ベッドとして定着していたが、東京五輪では環境への配慮から導入されていた。

「このベッドは、大会終了後に紙製品にリサイクルされ、マットレス部分は新たにプラスチック製品にリサイクルされる。オリンピックとパラリンピックの歴史の中で、すべてのベッドと寝具がほとんど再生可能な素材で作られるのは、これが初めてのことだ」と、リリース資料には記載されている。

また、アイルランドの体操選手であるリース・マクレナハンは7月18日、アンチセックスの噂を否定するビデオをツイッターに投稿し、段ボール製のベッドの上で何度もジャンプしている姿を公開した。マクレナハンは、この噂を「フェイクニュース」と表現した。

今年のオリンピックは、莫大な開催費用やウイルスの蔓延の可能性、米国選手の大麻使用による出場禁止処分など、多くの問題に直面しているが、「アンチセックス」ベッドは、インターネットが思い込みを加速させてニュース記事にしてしまった事例のひとつと言える。

しかし、アスリートたちにとっては到着後の楽しみがひとつ増えたのかもしれない。

編集=上田裕資

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