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また、ゲームを通して“車いすに乗っている自分”や“義手を使っている自分”を体験できるのもこのゲームの特徴だ。これらの用具はプレーヤーの好みでカスタマイズすることもでき、障がいをより身近に感じられる工夫も施されている。


着用するユニフォームはもちろん、義手や義足、車いすなども自分の好きなものを選ぶことができる

「『ザ ペガサス ドリーム ツアー』では、障がいを個性として捉えた、個性ファーストの表現方法にこだわりました。たとえば、目が悪い人はメガネをかけますが、視覚に障がいのある人のアイテムではなく、現在ではファッションアイテムのひとつとして認知されていますよね。同じように、義足や義手も個性を表すためのアイテムとしてとらえ、プレーヤーが好きなものを選ぶことができるように設計しています」(コ・プロデューサー門田氏)

「実物を忠実に再現するのではなく、自分が好きなお洋服を身につける感覚で選べるように、ファッショナブルに見えるデザインを心がけました」(アートディレクター石崎氏)


(左)アートディレクターの石崎晴美さん。VFXやアートディレクションを担当。色使いやデザインにこだわり、ゲーム内のポジティブでエネルギッシュな世界に描いたそう。(右)コ・プロデューサーの門田瑛里さん。JP GAMESの立ち上げから参画し、IPCとの調整交渉や開発進行のマネジメントを担当。プロジェクトの根底を築いたキーパーソンだ

実際に、この表現方法は障がいのある人たちからも「自分と同じ障がいがこんなにカッコよく表現されているのは見たことがない」と高い評価を受けているそうだ。一方で、ゲーム内で義手や義足を付け替えるという表現にザワつきを覚える人もいるようだが、田畑氏はそのザワつきさえも想定済みと言う。

「世の中に大きな変化を起こそうとすれば、賛否両論、いろんな意見が出てくるのは当然だと思います。むしろ波風も立たず無風という方が、何も社会にインパクトを与えられていない証拠。いろんな風を全部ひっくるめて、その先にある、ダイバーシティ&インクルージョンの考えが“当たり前”になる世界を目指しているんですよ」

コンテンツとビジネスを切り離す


ゲームでサステナブルな世界を実現する際に課題となったポイントについても聞いてみた。そこには、ゲームを開発・運営する上で避けては通れない収益面の問題とパラリンピックを題材にしたゲームの特性を両立させる大胆な解決策があった。

「通常のスマホゲームは、ゲームにたくさんお金を使ってくれる少数のゲーマー層を取り込むことで、その他大勢の人たちが無料で遊べるビジネスモデルを採用しています。このモデルだと課金することで強くなったり、上手になったりするゲームデザインになりがちなんですが、それを『ザ ペガサス ドリーム ツアー』に取り入れてしまうと、お金をたくさん使うと金メダルが取れるという、パラリンピックの理念に反するゲーム内容になってしまいますよね。これではダメだと考え、行き着いたのがコンテンツとビジネスを切り分けることでした」

文=高柳淳(パラサポWEB) 写真=谷口大輔

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