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ベイク チーズタルトはリアルイベントを開催することで、顧客の生の声を吸い上げている。一部の店舗に併設されているカフェスペースでは、従業員と客の間でやりとりが頻繁にあり、商品への意見を積極的に拾い上げ、これを発展させるかたちで開発中のフレーバーの試食やドリンクとのペアリングが楽しめるファンイベントを各地で開催、交流を図っていた。コロナ禍で最近は実施できていないとのことだが、「ファンコミュニティをオンライン上でも広げていきたいです」と鈴木は言う。

「挑戦的なフレーバーを出すときは、美味しく仕上がったと思いつつも、何かもう一つ背中を押してくれるものが欲しくて。そういうときに、一番身近なお客様にご意見をいただくと自信になります。熱心な方が多くて、暖かいご意見も、鋭いご意見もあります」

毎年春に販売する大人気フレーバーとなった「ストロベリーチーズタルト」が商品化したのも、ファンの声を受けてのことだった。

ちなみに、鈴木自身の一押しのフレーバーを尋ねると、「焼きたてブルーベリーチーズタルト」と答えた。これは現在の焼きたてチーズタルトの前身となった冷凍で販売していた商品で、ブランド設立4周年を迎えた2018年11月に復刻版が登場した。ベイク チーズタルトの原点とも言えるもので、鈴木がブランドを大切に思っているのが見て取れた瞬間だった。

チーズタルトのバリエーション

 地味だけど、反響の嬉しさは格別。


2020年4月、新型コロナウイルス感染症の影響による緊急事態宣言を受けて、ほとんどの店舗は休業に追い込まれた。営業を再開した今も、外出の自粛が続くのは、空港や駅などの一等地に店舗を構えるBAKEにとっては痛手だ。しかし、BAKEはこの状況を逆手に取った。オンラインストアを開設することで、これまでは手が届かなかったニーズへのアプローチに乗り出したのだ。

「オンラインストア自体は、以前から話には上がっていたのですが、なかなか進められていませんでした。それが、休業をきっかけに一気に話が進み、立ち上げが決まってから、1カ月でオープンに漕ぎ着けました」

部署横断的に臨機応変に動いたことで、スピード感のある対応ができたのではないかと鈴木は話す。

コロナ禍を機に前進したのは、販売形態だけではない。店頭では、焼きたてを売りにしているが、オンラインでは、自宅のオーブントースターで温めて食べる冷凍版のチーズタルトの販売を始めた。12月には、ベイク チーズタルトと同じクリームチーズを使ったスピンオフブランド「チーズテリーヌ」と「チーズスフレ」を発売した。冷凍の商品は、賞味期限が長いため、これまでは難しかった遠方への配送も可能になるという効果も生まれた。

魅力の発信は、オンラインになったからといって衰えるわけではない。Webサイトは、焼きたてと変わらず、こだわりを持ってそれぞれの商品を製造していることが伝わるよう、細部まで作り込まれている。店頭で味わえるライブ感の代わりに、調理の様子を撮影した写真やシェフのインタビューも掲載した。

文=井上榛香 写真=西川節子

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