Close RECOMMEND

ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist

shutterstock

「Forbes JAPAN」2021年2月号の表紙を飾った、リード・ヘイスティングス率いる、ネットフリックス。その絶好調な事業を支える組織戦略もまた、世界最先端だといわれている。


フランスのINSEAD(インシアード)経営大学院教授エリン・メイヤーが、米動画配信大手ネットフリックスのリード・ヘイスティングス最高経営責任者(CEO)と共著で上梓したベストセラー『NO RULES(ノー・ルールズ) 世界一「自由」な会社、NETFLIX』(日本経済新聞出版)。ネットフリックスのコーポレートカルチャー(企業文化・社風)を分析した本だが、世界の有料会員数が2億人を超えた同社の強さの秘密は、その「自由」と「責任」から成る文化にある。驚くことに、ネットフリックスには休暇や経費の規定も、契約締結などで、上司の承認を得る義務もない。

メイヤーは3年の歳月をかけて、西海岸や欧州、東京などの従業員・元従業員に200回以上インタビューをこなし、同社の文化を徹底解明した。パリ在住の彼女が大いに語る。

──ネットフリックス文化のなかで、あなたが特に衝撃を受けたものは何ですか。

ヘイスティングスが2009年にオンライン上で公開した「ネットフリックス・カルチャー・デック」というものがある。127枚のスライドに標語が書かれているのだが、最初に読んだ際は大きな衝撃を受けた。十分な働きぶりの従業員を十分な退職金で解雇すると書かれていたからだ。

良好な職場環境には「心理的安全性」の確保が重要だとされているが、ネットフリックスは会社を「家族」でなく、ベストプレイヤーが集まる「オリンピックチーム」とみなす。最高の人材しか採用しないからだ。そのため、功績が落ちれば、ほかのプレイヤーに取って代わられる。

休暇規定がないことにも驚いた。無休で働く従業員がいるのでは、と思ったからだ。しかし、ヘイスティングス自身が年に6週間の長期休暇を享受することで、「この会社で成功するには休暇を取る必要がある」という雰囲気が生まれ、自由な文化が機能しているのだと悟った。

文化をつくる「3ステップ」


──同社の文化は、「能力密度を高める」「率直さを高める」「コントロールを減らす」の3ステップから成るそうですね。

当初は、そうした文化がなぜ組織で機能するのか理解に苦しんだが、そのうち、こう考えるようになった。大半の企業は、「ミス防止」という工業化時代の遺物にとらわれ、効率性や一貫性に固執しすぎているのではないかと。ますます多くの企業が、ミス防止よりも、イノベーティブ(革新的)になる方法を模索しているにもかかわらず、だ。

ひるがえってネットフリックスは大胆にも、従来の企業とはまったく異なる働き方を打ち出した。衝撃的だが、その効果には目を見張るものがある。まず、ヘイスティングスが目指したのは、比類のない「自由」を従業員に与えることだった。自由はイノベーションを生むが、プロセス(手続き)は柔軟性を奪うからだ。

インタビュー=肥田美佐子 

ネットフリックス

PICK UP

あなたにおすすめ