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ニューヨーク在住ジャーナリスト / NYC-based Journalist


──本の中で、女性活用は公平さのためではなく、経営的メリットのためだと強調していますね。

最高経営責任者(CEO)など幹部が、ジェンダーや人種の平等は企業の責務だという点を理解し、行動に移さねばならない。取締役会は指導層に対し、ダイバーシティ実現の責任をもたせるべきだ。ダイバーシティは収益を高める。取締役会は会社の成果を最大化する受託者責任を負う。

企業で講演する際、会場に指導層の姿が見えない会社には問題がある。最大の成果や努力が見られる会社ではCEOが最前列に座り、「これが私の優先事項だ」というメッセージを全社に向けて発している。

偏りを放置すれば、収益に響く


──日本女性の政治・経済参加は、経済協力開発機構(OECD)諸国で最低クラスです。

日本では文化的問題が女性の足を引っ張っている。克服は至難の業だろう。企業は、応募者の男女比や昇進率の男女差を調べ、偏向を正さなければならない。採用の際、応募者リストの男女比はバランスが取れているか、採用担当者の男女比はどうか。偏りを放置しておくと、収益に響く。

以前、幹部候補の白人男性編集者を面接したとき、上から目線の対応に嫌な印象を持ったが、白人男性の部下は、誰もが彼を気に入った。一方、女性や同性愛の男性は私と同意見だった。採用を見送ったが、同じような人が多いと採用も偏る。

──同書を通して、「男性の力になりたい」という目的は達成できましたか。

この本を読む男性には、そもそも女性に手を差し伸べたいと考える人が多いため、男性読者の反応は実にポジティブだ。目的は達成したと言えるが、まだ先は長い。拙著を読まない男性や政治家の多くは、自分たちを、女性や非白人の台頭で害を被る「マイノリティ」だとみなしがちだ。米国ではここ数年、そうした文化戦争が激化している。

一方、勇気づけられることも多い。その一つが、大手石油会社から講演に招かれ、1000人近い男性が熱心に耳を傾けてくれたことだ。幹部や現場の労働者も含めた男性の聴衆に大いに元気づけられた。

ミレニアル世代の男性は平等意識が進んでいる。ポスト・ミレニアルは、さらにその上を行く。だが、男性は家庭をもつと保守化して仕事を優先し、妻にサポート役を求めるようになるという研究結果もある。だから、私は若者に、いつもこう語りかける。「いまの考えを変えないで。あなたたちは正しい生き方をしている」と。彼らが真にポジティブな変化をもたらしてくれることを願う。


Joanne Lipman◎米メディア大手ガネット社の元COO。元USAトゥデイ編集長。イェール大学歴史学科卒業、ウォール・ストリート・ジャーナル紙に勤務。同紙女性初の副編集長に。コンデナストポートフォリオ誌、Portfolio.comの創刊編集長なども歴任。

インタビュー=肥田美佐子

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