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Dotted Yeti / Shutterstock.com

5月下旬、国際宇宙ステーション(ISS)のロボットアームに宇宙ゴミが衝突する事故が発生した。カナダ宇宙庁によると、幸いにも損害は比較的小さく、ロボットアームの機能に影響はないという。

毎年数百基の人工衛星が地球低軌道に投入される中、宇宙ゴミの衝突リスクはかつてなく高まっており、経済的損失は数億ドルに達すると見られている。「LeoLabs」のCEO、Dan Ceperleyは、こうしたリスクの軽減策を常に模索してきた。

「宇宙ステーションにとって最大のリスクは、追跡できない微小な宇宙ゴミだ。今回の出来事がそれを物語っている」と彼は話す。カリフォルニア州メンローパークに本拠を置くLeoLabsは、世界中にレーダーを設置して軌道上の小さな宇宙ゴミを追跡し、衛星が衝突を避けることができるデータを提供している。

同社は6月16日、ポルトガルのアゾレス諸島にレーダーシステムを設置する計画を発表した。これによりカバー範囲が広がり、より多くの宇宙ゴミを追跡できるようになるという。Ceperleyによると、レーダー施設の建設は1年以内に完了する予定という。

「カバー範囲の拡大により、よりタイムリーに高品質なデータを入手し、全ての衛星や宇宙ゴミを正確に追跡することが可能になる。レーダー網の能力が向上することで、微小な宇宙ゴミもトラッキングできるようになる」とCeperleyは述べている。

Ceperleyは、かつてSRIインターナショナルで電波天文学の研究をしていたが、スピンアウトする形でLeoLabsを設立した。彼のチームは、電波望遠鏡が衛星と宇宙ゴミをフィルタリングする技術を開発した。彼らはこの技術を応用し、レーダーを用いて衛星と宇宙ゴミを見つけることに成功した。

LeoLabsはこれまでアラスカとテキサス、ニュージーランド、コスタリカにレーダーを設置し、顧客企業にSaaSモデルでデータを提供している。顧客には、PlanetやSpire、Digital Globeなどの衛星事業者の他、スペースXやMaxarなどの航空宇宙会社、ニュージーランド宇宙庁や米国防総省などの政府機関が含まれる。

特筆すべきは、LeoLabsが比較的少ない資金でここまで事業を成長させた点だ。米空軍の宇宙ゴミ監視システム「スペース・フェンス」(Space Fence)は、完成に15億ドルを要したが、LeoLabsは今月初めに実施したシリーズBでの6500万ドルを含め、調達額は1億ドルに過ぎない。ピッチブックによると同社の評価額は3億8000万ドルだという。

Ceperleyによると、今後もレーダーの増設やソフトウェアの向上に向けて、新たな資金調達を計画しているという。彼が目指すのは、軌道上の微小な宇宙ゴミも追跡できるようにし、顧客の衛星を衝突から守ることだ。

「現在、業界が目指しているのは、10センチの宇宙ゴミを追跡することだ。このサイズのものは、1万7000個あると推定される。我々のミッションは、今後2年で25万個ほどあると言われる2センチの宇宙ゴミを追跡できるようにすることだ。その先は、さらに微小な宇宙ゴミを追跡できるようにしていきたい」とCeperleyは語った。

編集=上田裕資

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