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ロンドンを拠点とするスタートアップ「トラクタブル(Tractable)」は、損傷した車の写真をAI(人工知能)でスキャンするテクノロジーを自動車保険会社らに提供している。同社は6月17日、新たに6000万ドル(約66.4億円)を調達し、評価額が10億ドルに達したことをアナウンスした。

今回のシリーズDラウンドは、Insight PartnersとGeorgianの主導によるものだ。トラクタブルは、新たな資金で写真解析テクノロジーを増強し、急拡大しているオンライン自動車販売企業らを助け、台風関連の保険金請求を審査する日本の保険会社らを支援していく。

共同創業者のエイドリアン・コーエンによると、トラクタブルはこれまで米国、日本、フランス、英国の大手保険会社と契約を結び、2020年には約100万世帯の自動車保険金請求を取り扱ったという。同社のテクノロジーは、自動車部品メーカー大手のLKQにも採用され、故障した車両のメンテナンスにも活用されている。

コーエンによると、同社が処理した保険金請求の審査のうち、AIのみで処理されたものは約50%程度に過ぎないが、「マシンラーニングを用いれば、保険会社やドライバーはその場で判断を行うことが可能だ」という。

パンデミックよって、オンライン中古車販売プラットフォームの支持は急拡大し、米国のCaravanaや英国のCazoo、ドイツのAuto1などは売上を伸ばしている。「当社のAIテクノロジーは、車の購入や売却、レンタルなどで車の状態を確認したい場合にも有効だ」と、コーエンは述べている。

コンピュータ・ビジョン分野では中国のセンスタイムや米国のVerkadaなどの企業が優位に立っているが、今回の調達で英国で最も新しいユニコーンとなったトラクタブルも、抜きん出た存在感を示している。

トラクタブルは2015年に設立され、現在は英国を中心に200人以上を雇用している。同社は昨年5500万ドルを調達し、今年5月には米国第2位の自動車保険会社Geicoと契約を結んでいた。

編集=上田裕資

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