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グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今


フジテレビは他のキー局と同じく、40年近く海外市場でコンテンツ売買をしてきた実績があります。総務省の最新調査によれば、日本の2019年度の放送コンテンツ海外輸出額は約530億円。海外販売作品数は3900本を超え、輸出額も作品数もともに右肩上がりで増加しているのです。

取引先はアジアをはじめ北米、欧州などが多くを占めていますが、これに加えて新たな地域でバイヤーを「獲得」する有効手段としても、JETの活用は期待されています。フジテレビがJETによる海外番組取引額の3割アップを目標にしていることからも、それが伺えるでしょう。

さらにフジテレビは、2021年の秋を目処に、自局以外の日本のコンテンツホルダーの作品をJETに追加していくことを計画しているとのこと。前述の東氏は「国内のコンテンツ産業をさらに盛り上げ、日本のコンテンツが世界で新たな商機を掴んでいく一助になれば」と話しています。

また、あまり知られていないことですが、一部の日本のローカル局も、コンテンツの海外展開を進めています。準キー局と呼ばれる大阪のテレビ局やローカル局の輸出額の合計はまだ50億円に満たないながらも、右肩上がりで順調に伸びています。現段階では、日本にはJET以外にBtoB向けの番組販売ECシステムがないため、国際的に取引できるバイヤーの数を増やしていこうと考えているローカル局などが、JETを有効活用していく可能性は十分にあるでしょう。

映像コンテンツの商流に変化


JETが開発された背景には、映像配信プラットフォームの世界的な盛況があります。Netflixを筆頭に、Amazon、Disney+といったグローバルに展開するプレイヤーからローカル限定のプレイヤーまで、この5〜6年で新たに立ち上げられた映像配信プラットフォームが急増。それに伴い、バイヤーの数も増えています。

こうした映像配信プラットフォームのバイヤーたちは、コンテンツを配信する時期や数について、既存のテレビメディアより縛られていないことが多く、いつでもコンテンツを探して購入できるJETのような番組販売ECシステムは、彼らにとって利便性が高くメリットが大きいと言えます。

また、Netflixが非英語圏が制作したドラマや作品をヒットさせたこともあり、インドやイタリア、フランス、韓国、ドイツ、スペインなどでつくられた番組へのニーズも増えています。当然、日本もこの潮流に乗っていくべきです。

世界ではすでに、JETと同じようなBtoB向け番組販売ECシステムの需要が高まっています。コロナ禍によって、こうした映像コンテンツの取引をオンラインで完結させる流れはさらに加速しました。

コロナ禍以前には、動画コンテンツの取引は「見本市」のような映像マーケットにバイヤーが直接赴き、買い付けるかたちで行われていました。世界最大級の映像マーケットは、フランスのリード・ミデム社がフランスのカンヌで開催する「MIPTV(ミップ・ティービー)」や「MIPCOM(ミプコム)」です。

MIPTVは春に1回、MIPCOMは秋に1回、60年近くにわたって開催されており、世界中から参加するバイヤーたちの数は3000人以上。このほかにも、世界各地の主要都市では、番組の売買取引を行うためのマーケットが多く開かれていました。

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MIPTVの様子(2019年)

文=長谷川朋子

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