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SLSを創設した、アメリカ版 “明石家さんま”



Photo by Donato Sardella/Getty Images for P.S. ARTS

このSLSを創設したのは、全米随一の人気TV番組「Ridiculousness」のホスト、ロブ・ディアデック氏という人物である。

日本で例えると、露出の多さという意味では明石家さんまさんを想定してもらうと良いかもしれない。ディアデック氏は「元プロスケーター」のキャリアを持つものの、一般の米国人(特に30歳以下の若い世代)にとっては“MTV の「Ridiculousness」の司会者”という印象が一番強いであろう。

それもそのはず、MTVのメインチャンネル放送枠の実に60%をこの番組が占めており、日曜日に至っては文字通り、24時間一日中放送されている。現地に住む者としての実感も同じで、どの時間にMTVをつけても流れているのは高い確率で「Ridiculousness」だ。

番組内容を端的に説明すると、ディアデック氏含め3人のキャスト+1人のゲストがお笑い映像を観て面白おかしくコメントをするといったものである。週1回の最新話放送のほかは過去の再放送を垂れ流している。古くからMTVを知っている方からすると時の移り変わりを感じるに違いない。高コストをかけて高クオリティの番組をゼロから作るリスクを背負うよりは、効率よく過去の人気コンテンツを再利用したいという、今のMTVのニーズにハマるコンテンツといえる。

●MTVの週刊番組表 オレンジの放送枠がこの“Ridiculousness”だ

「客観的ビジネス視点」を武器にキャリアアップ


もう少し詳しくディアデック氏のキャリア変遷を紹介する。

プロスケーターは街中やスケートパークで難易度の高い技やかっこいい技をメイクする自分の滑りをビデオに収め、それを企業に売り込んでスポンサー契約を勝ち取る。

そうした街中でのデモ撮影につきものなのが、私有地やスケートボード禁止エリアで滑っているのを警備員が止めに入るといったやりとりだ。話し合いで済めばよいが、事態がエスカレートして暴力的になることもある。

そこでディアデック氏は、190センチを超える巨漢の友人ビッグを自分の警備員として雇い、「ごめんごめん、あと一回だけでいいからこいつに滑らせてあげて、お願い!」といった警備員vs警備員のバトルをデモテープの題材にして、スケート界で話題を呼んだ。

さらに、MTVに自分とビッグの生活を追ったリアリティーショー「Rob & Big」を売り込み、2006年から3シーズン続く人気番組となった。その後2009年から実に7シーズンも続いたギネス記録挑戦番組「The Fantasy Factor」のスターも務めた。



「Ridiculousness」は、老舗ホームビデオ投稿番組をポップ、スマートかつスケーラブルにリメイクしたお笑い映像TV番組として2011年に誕生した。参考にした元の番組は、視聴者投稿のホームビデオを集め、人気の高い上位ビデオの撮影者家族をスタジオに招待して決選投票を行い、優勝者が高額賞金を獲得するという、心温まる国民的ファミリー番組だ。

それをシンプルでポップなスタジオで、3人のキャストがより過激な映像を見て笑ったりコメントしたりする演出にアレンジした。高額賞金もなく、ゲストも多くて1人(それもMTVやディアデック氏に近しい人物)、小さなスタジオで複数回分をまとめ撮りしている。つまり、「低予算でスケールできる」番組となっている。

文=久米 翔二郎 編集=宇藤智子

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