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緊急事態宣言の発出・終了を繰り返す政策自体が、国民の信頼を失っているように見える。いっそのこと、外出禁止を「強制」すれば、社会規律は回復される。例えば、2週間は飲食店も全面休業(持ち帰り、配達はOK)、エッセンシャル・ワーカー以外は外出禁止、という昨年のニューヨーク並みの外出禁止令を試してみるのもひとつの手かもしれない。

国民全員が、2週間家族以外との面会を断てば、感染は劇的に減少するはずだ。日本では、そのような外出禁止の法的根拠がない、というのが、標準的な反論だが、それこそ「1年間何をしていたのか」ということになる。

何より残念なのは、ここにきてオリパラ開催反対の意見が増えていることだ。オリパラを成功させるために我慢して感染を抑えよう、という力が働くのではないか、と思っていた。しかし、オリパラに錦の御旗効果はなく、医療がひっ迫しているなかでオリパラを開催して、そちらに医師・看護師を取られるのはとんでもない、という声のほうが強くなってきた。大会期間中の医師200人と看護師500人をボランティアで募集・派遣要請したことは、さらに反感をあおっている。なぜ、潜在医師・看護師の臨時雇用を計画しないのか。

外国人観客は禁止したものの、選手、スタッフ、報道関係者は入ってくる。変異株を持ち込まれるのも怖い。外国選手やスタッフにしても、感染者が拡大している東京に行くのは嫌だ、という声もあるかもしれない。開催2カ月前になっても、日本人選手・外国人選手及びスタッフの行動範囲(宿舎と会場の行き来)をいかに感染地域から隔離(グリーンゾーン)するかが明示されていないのも、不安だ。(5月6日記)


伊藤隆敏◎コロンビア大学教授・政策研究大学院大学客員教授。一橋大学経済学部卒業、ハーバード大学経済学博士(Ph.D取得)。1991年一橋大学教授、2002~14年東京大学教授。近著に『Managing Currency Risk』(共著、2019年度・第62回日経・経済図書文化賞受賞)、『The Japanese Economy』(2nd Edition、共著)。

文=伊藤隆敏

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