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京都市在住のフリーランスライター兼編集者


アートもビジネスも、コロナ禍をチャンスに


杉田:「新潟産ハートを射抜くお米のスープ300円」と「檸檬ホテル」の挑戦の違いはどこですか?

遠山:「スマイルズ」にとってのコンテクストはビジネスです。そしてビジネスは自立性。「ズキュン!」もよかったけれど、結局2カ月の会期後には壊さないといけない。そこで、ビジネスとして自立できるように考え、ホテルというものを作品化して継続していけるようにしました。

杉田:そういう試行錯誤のあとに生まれたのが、The Chain Museumなのですね。これも、「チェーン」と「ミュージアム」という相反する言葉をくっつけたのが始まりだとか。

遠山:ええ。Soup Stock Tokyoはチェーン店であり、アートの唯一性とチェーン店は真逆なので、真逆をくっつけたら何か生まれるかなと思いました。

それこそ正解なんて見えていないんですよ。ビジネスなのに、衝動しかない。弊社はわりと誰がなぜやるのかが大事であって、入り口と結末のイメージさえあれば発車してしまう。

杉田(前編で)「ビジネスは4コマ漫画で、起承転結が必要」とおっしゃっていましたが、最初のコマと最後のコマさえ言い出した本人がイメージしていたらOKということですね。

遠山:そう。だから、なかなか儲からない(笑)。

例えば「iwaigami」という、結婚指輪と小冊(ブックレット)を組み合わせたプロダクトを2年前に開発したんです。「もっともシンプルな結婚のあり方」を考えていくと、小冊があって、誓いの言葉があって、結婚する2人でそれを読み上げて、指輪を交換すれば成立するんだなと思って。でも、どこで売っていいのかよくわからず、いまだに9個しか売れていない(笑)。


600年以上の歴史を持つ折型礼法に着想を得た指輪と小冊の「iwaigami」

杉田:僕はキャンバスに絵具というメディウムを載せているけれど、遠山さんは日本とか世界というキャンバスにアイデアというメディウムを載せているんですねえ……。やはり表現者という意味では同じだと感じます。

遠山:そうですね。私はいま、ビジネスとアートを行ったり来たりしながらやっていて、このコロナ禍もひとつのチャンスだと思っているんです。

杉田:イタリアを中心にルネサンス文化が花開いた理由は、ペストが大流行し、それまでのキリスト教的死生観が崩壊され、既存の価値観から自由になったことや、羅針盤や活版印刷など新たなテクノロジーが発明されたことなどが挙げられるけれど、今回のコロナ禍でも同じようなことが起きると思われますか。

取材・構成=堀 香織 撮影=山本マオ

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