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イタリア発「サステナブルな衣食住遊イノベーション」


例えば、滋賀県長浜市にある古民家を活用した美容室『古の月宮』は、昔ながらのわらすきの土壁をそのまま生かした店内、田園風景が広がる景色に囲まれた和風サロンだ。自然に囲まれゆったりと髪をケアしてもらうのだから、当然扱う製品もエコロジカルなものが求められる。ミシュランの3つ星レストランのように、泊まりがけで髪を切りにわざわざ出かけたくなるような小規模サロンの多様性や魅力が今後広がることが予感される。


環境に配慮されたパッケージにもOWAYの理念が反映されている

ゼロウェイストの循環型サロンづくり


もちろんOWAYの最大の魅力は原材料がオーガニックであることだが、それだけでは数あるオーガニックコスメとの差別化が難しい。しかもオーガニックとはいえ、EUの法律では規定量であれば農薬の利用が許されており、完全に無農薬で環境負荷なく作られた製品を選び取るのは容易ではない。だからどこで誰がどのように作ったか、原材料や安全性をはっきりと美容師やカスタマーに開示していくことは信頼感を高める効果もある。


OWAYの自社農園Ortofficina

原材料となる18種類以上のハーブや花の生産者は、ロバ2頭と蜜蜂、大地と水、そしてその働きをやさしく見つめ丁寧に手入れするアグロノミストのロレンツォさんだ。

アグロノミストとは、環境全体を整え植物からのエネルギーの抽出といった多くの問題に関わり、輪作や灌漑、排水、植物育種、植物生理学、土壌分類、土壌肥沃度、雑草防除、害虫防除といった分野を専門とするプロフェッショナルだ。OWAYの製品の基礎を司るのは月の働きと自然のエネルギーとも表現できる。そのように生まれた原材料を最大限に活かしきるラボラトリーは最新鋭の設備だったが、やはり自然環境に配慮されたゼロカーボンニュートラル設計の社屋内にあった。

ほぼ全ての製品はリサイクル可能なガラス瓶などがパッケージに採用されているが、さらに地域の団体と連携して美しいガラスプロダクトにアップサイクルし、サロンへまた循環させるなど、新しい仕組みづくりにも余念がない。わずかに残る課題の一つであるヘアカラー材のアルミチューブなども無駄や廃棄物を避けるための研究が進められており、とにかく全社をあげて製品やプロセスにエネルギーや自然の無駄、搾取がないか隅々まで意識をもって取り組んでいるのが感じられた。


ボトルの再生利用のエコプロジェクト

北イタリアで広がる「ウェルネスバレー」 ホリスティックな新業態


OWAYのようなブランドが人気を得る一方で、まだまだケミカルな薬剤が主流の美容業界。オランダを中心にEUが支援し展開されている「グリーンサロン」プロジェクトでは、EUだけで40万軒以上あるサロンの労働環境の改善や、美容師の健康寿命が著しく短いことが課題として挙げられている。それはもちろん日本でも同じ状況だ。こういった課題意識が美容師を生業とする人たち自身の業界変革も促している例のひとつが日本にもある。滋賀県にあるTsuki Academyの取り組みだ。

全国の自然派のサロンを経営する美容師自らが、サロンで使うヘアケア剤の原材料を栽培するため、農業や植物染色を教える美容師専用のアカデミーであり、髪の毛から心と体を整えることの重要性を掲げ、健康・食・環境など幅広い学びの場を提供しているのが先進的だ。

文=齋藤由佳子 写真=OWAY

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