Close RECOMMEND

最先端の経済誌「Forbes JAPAN」の記事紹介


例えば、PFSやSIBでは、ロジックモデルを組み立てて、事業活動からアウトプットやアウトカムに到るまでの理論的な因果関係を可視化して、社会的インパクトを評価します。そうして、社会的な成果に応じた支払いや投資家からの資金調達を可能にするのですが、ただ、その際に「成果志向」を強調しすぎると、合理性の枠組みの中でしか動けなくなる。明確な成果指標を達成することを追求しても、人間の幸せに結びつかない印象があります。

本来のSIBの良さには、成果さえ出せばいい、インパクトさえ出せばいいので、計画書に事業者が縛られず、やりたいようにやれる柔軟性があるところでした。しかし、成果を出しつつ、柔軟にインパクトを与える方法を学ぶこともできます。成果主義というよりは、学習主義というか、もっと学ぶということを駆動し、そこから柔軟に次の行動に移っていくみたいなやり方もあるかもしれません。

学ぶことには、合理的ではない、直感的なところや様々なステークホルダーからのフィードバックによって、ある種「自分自身が揺らぐ」ことが大事になります。

そのような価値化されにくい経済の価値観と、経済合理性と評価を結びつけた資本主義の仕組みはしばらく共存していくでしょう。しかし、最終的にはある種経済合理性を超えたところに向かっていかざるを得ないんだろうなという気がしています。そうしないと対応できない社会課題や市場のほうがむしろ大きくなっていくでしょう。経済合理性をよくも悪くも否定するところに、新しい価値観がある気がします。

ハルキゲニアのような金額の規模の小さい事業は、事業を行う主体とその受益者が一体になっていく。旧来のフレームワークでは、支援する人・される人、サービスを提供する人・される人、投資をする側・される側のように、どちらが便益を供与しているかというのがはっきりしている世界でした。そこがあいまいになっていって、ある種のコミュニティのようになる。

支援する場合もあればされる場合もあるし、していると思っているけど、実はそれがする側がすごく満たされている、幸せになっている。そういう世界観がある。最終的な成果や結果よりも、新たに学んだり、対話したりするプロセスが重要で、そのプロセス自体にもっともっと価値が置かれていくのではないでしょうか。


ふるいち・かなふみ◎大学卒業後、大手メーカーで製品開発に従事。外資系コンサルティング会社の戦略コンサルティング・M&Aアドバイザリーを経て2018年に社会変革推進財団に参画。ソーシャル領域のキャピタリストとして活動。

文=フォーブス ジャパン編集部

PICK UP

あなたにおすすめ