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グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今


HBO Max単体で5000万人強を見込み、Paramount+などの競合を若干引き離してリードする格好です。あくまでも予測に過ぎませんが、OMDIAの予測では、HBO Maxが脅威の存在であることが示されています。

一方で、HBO Maxには致命的な弱点もあります。北米以外の地域では、直営型のプラットフォーム(D2D)の展開を一斉に始めることができない事情があるからです。

例えば、欧州ではHBOとSkyとの長期的な制作や共同制作契約が残っているため、この契約が切れるまでは、イギリスをはじめとする欧州の国々でD2Dの展開ができないのです。

日本においても、直営型のプラットフォームの展開ではなく、U-NEXTとのパートナーシップ契約によって作品提供のみが行われるため、HBO Maxブランドが一般ユーザーには認知されにくいというデメリットがあります。

この点については、U-NEXT代表取締役社長の堤天心氏は次のように語ります。

「日本のSVOD(Subscription Video on Demand、定額制動画配信)市場は、まだ成長の余地があります。プレミアム作品を揃えながら、国内配信ではトップランナーの地位を確立しながら戦っていく。早期に250万から300万の加入者数を達成したい」

ワーナーメディアとのHBO Maxに関する取り組みは、あくまでドメスティックな動画配信サービスであるU-NEXTの競争戦略のひとつであることを強調しています。

GEM Partners「動画配信/放送/ビデオソフト市場ユーザー分析レポート」2020年調査によると、定額動画配信サービスの日本のユーザーは、平均で1.7つの動画サービスを利用しているということです。しかも、1つのサービスに限定せずに、複数サービスをフレキシブルに利用している傾向が高いのです。

実際にU-NEXTの説明によれば、複数のサービスを併用するユーザーや、一旦やめて再加入するユーザーも多いとのこと。つまり、U-NEXTは、こうしたユーザー動向を見据えて、「ユーザーが見たい作品をできるだけ多く取り揃えること」が今後の鍵になると考え、HBO/HBO Max作品をラインナップに加えることに勝機を見出したというわけです。

U-NEXTは、2020年8月期に有料会員数200万人を突破。GEM Partnersの「VOD市場5年後予測(2021‐2025年)」レポートによると、売上シェアにおいてNetflix(19.5%)、Amazon Prime Video(12.6%)に次いで3位(11.1%)、国内勢のなかでは1位のポジションです。

この数年先を見据えた日本の定額動画配信サービスの勢力図からも、ブランド力のある作品を揃えていることが、ユーザーから選ばれるサービスの条件になっていると言えそうです。

連載:グローバル視点で覗きたいエンタメビジネスの今
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文=長谷川朋子

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