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ドキュメント 教育革命の最前線から


連続講座を通して見えてきたもの


新しい社会をつくっていくのは、未来を生きる子どもたちだ。私たちが、子どもたちの親として、先を生きてきた大人として、できることは何だろうか。この連続講座を通して、これからの教育において外してはならない大切なポイントが見えてきた。

まず1つ目は、一方的に教えるのではなく、子どもが「学びたい」という思いを持てるように目の前の子どもの姿をしっかりと見ること。もし子どもが学びへの意欲を失っているとしたら、自ら学びに向かうことができる安全で安心な環境を物理的、心理的に整えるところからはじめたい(災害や不登校 日常が壊れたとき、「学び」とどう向き合うか)。

そして2つ目に、「ねばならない」から解放され、遊びや暮らしのなかから主体的に自由に、そして楽しみながら学ぶ時間を子どもたちに確保すること。多世代の多様な人たちの集まる場所で失敗をおおらかに受け止めてもらいながら、たくさんの出会いを体験する機会を増やしたい(子どもたちにとってのサードプレイス。自宅と学校以外の「居場所」が果たす役割)。

3つ目に、自分自身を知り、困難があればそれを表現し、それぞれの違いを互いに認め合う場を確保すること。子どもにとって、そうしたことを自由にできるコミュニティがあるか、子ども自身が本当に興味を持ち学びたいことを応援できているかを問い続けたい(遅れをとる日本の「インクルーシブ教育」。その本質を見つめ直す)。

そして最後に、学校の教室を実際の社会や世界につなげること。大人である私たち自身が、どんな社会で生きていきたいか、どんな社会に変えていきたいかを考えることなしに、子どもによい教育を与えることはできない(子どもたちは何のために「学校」で学ぶのか? 学びの本質を問う)。

「学び」は子どもたちだけのものではない。「なぜ人間は学ぶのか」を問うことは、「人間とは何か」を問うことに他ならない。

歴史を紐解いてみても、新しい文化や便利な道具を手に入れたとき、それをどう使うかという姿勢が常に問われてきた。オンラインやタブレットを教育に導入するこの過渡期に、最新技術を「国家や企業を支える人材を育てるために」使うのか、「1人1人のいのちを輝かせるために」使うのかは、私たちに与えられた大きな問いでもある。

教育のあり方は、国や企業のあり方、人間のあり方につながっている。世界はどこに向かうのか。未来をつくる教育、目指す社会について、1人1人が自分ごととして根源的に見直すべき地点に、私たちは立たされている。

世界はいま、個人にとっての本当の幸せを捉え直し、互いに困った時には助け合うことができる社会へ転換しようとしている。持続可能な世界を目指して、さまざま分野の研究者たちが、根源的なものは何か、本当に大切なことは何かを問いはじめている。

停滞せざるを得なかったこの時期を「社会を転換するチャンス」として捉え、新しいマインドに組み替えられるかどうかは、私たち1人1人の行動にかかっているのだ。

連載:教育革命の最前線から
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文=太田美由紀

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