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日米スポーツビジネス最前線

Photo by Rob Tringali/MLB Photos via Getty Images

米国の2大都市圏、ニューヨーク州とカリフォルニア州では「成人の7割が少なくともワクチン1回接種完了」のマイルストンに達したため、6月15日に経済活動が全面的に再開。一部公共交通機関などを除き、マスク着用やソーシャルディスタンス確保の義務が原則として解除された。

スポーツイベントでも、州政府の上限規制に合わせてワクチン接種者と非接種者で着席エリアを分ける「withコロナフェーズ」の暫定運用を終え、コロナ前同様の収容人数100%での開催に戻っている。

とはいえ、1年以上観客を思うように動員できなかったことの経営面への影響は大きい。MLBは昨シーズン、試合数削減(通常の162試合から60試合制に)や無観客試合への切り替えにより、30球団全体で売上高は前年比65%減の36億6000ドル(約4000億円)、EBITDA(利払い・税引き・償却前利益)も18億ドル(約1980億円)の赤字に陥った。2019年は15億ドルの黒字だ。

しかし、今年3月に公表されたForbes毎年恒例の球団価値ランキングによれば、MLBは巨額の赤字に見舞われたにも関わらず、全30球団の平均は前年比で3%増の19億ドル(約2060億円)と過去最高を記録した。トップとなったニューヨーク・ヤンキースに至っては、1億9000万ドル(約210億円)の赤字を出しながらも52億5000万ドル(約5780億円)と、昨年より5%高い評価額になった。

買収額も右肩上がり 球団収入の6倍超の値が


米国ではコロナ禍にあっても球団の買収額は右肩上がりだ。昨年11月にはヘッジファンド創業者でビリオネアのスティーブ・コーエン氏によるニューヨーク・メッツの買収がMLBから承認された。買収額は米プロスポーツ界で史上最高額となる24億ドル(約2640億円)とされる。また、かつてヤンキースなどで活躍したアレックス・ロドリゲス氏らの投資家グループがNBAミネソタ・ティンバーウルブズの買収を進めている。こちらの買収額は、WNBAミネソタ・リンクスと合わせて15億ドル(約1650億円)と報じられている。

Forbesによれば、コロナ前(2019年)のメッツの球団収入は3億6200万ドル(約400億円)、ティンバーウルブズは2億3400万ドル(約260億円)だ。つまり、単純計算で買収額(球団価値)には球団収入の6倍超の値が付いていることになる。

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日本での球団買収は?



Photo by Hiroki Watanabe - JL/Getty Images for DAZN

一方、日本での買収と言えば、最近では2019年7月に発表されたメルカリによる鹿島アントラーズの経営権取得が記憶に新しい。報道では、メルカリはアントラーズの61.6%の株式を15億8000万円で取得したとされるので、逆算すれば同球団の事業価値は約25億6500万円となる。決算公告によれば、2019年1月締めの損益計算書にあるアントラーズの売上高は73億3000万円とあるので、球団価値は球団収入の約0.35倍だった計算になる。

また、少し古いが、DeNAが2011年11月に横浜ベイスターズの株式66.92%を65億円で取得した。逆算すれば、球団の事業価値は約97億円となる。報道によれば、DeNA買収以前の球団収入は52億円ということで、球団価値は売上の約1.9倍ということになる。いずれにしても、6倍超の米国とは大きな違いだ。

文=鈴木友也

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