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I study technology disruption in individuals, companies and societies.

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手数料無料の投資アプリ「ロビンフッド」での取引で数十万ドル(数千万円)の負債を抱え込んだと思い込み自殺した米イリノイ州出身の20歳男性の家族が、ロビンフッドを相手取り訴訟を起こした。

家族は、ロビンフッドが息子に対し、数千万円の負債を数日以内に返済しなければならないと思い込ませたと主張。実際にはそのような損失は発生しておらず、原因は男性の金融市場に関する知識の欠如と、ロビンフッドによる強引な顧客獲得戦略にあったとされる。

男性はロビンフッドのカスタマーサービスへ何度か連絡を取ろうとしたがかなわず、悲観のあまり自らの命を絶った。男性は家族に残したメッセージで、自分が何をしてしまったのか分からず、自分が死ぬことで家族に債務が残らないことを願うと記していた。

手数料無料や、ギャンブル依存を誘発するゲミフィケーション手法によって、金融知識の乏しい多くの若者が、オンライン賭博と同じ感覚で株取引に引き込まれている。だがギャンブルは悪とみなされる一方で、証券取引はインテリや成功者がするものだとして社会的に受け入れられている。

ロビンフッドは、いわゆる「ペイメント・フォー・オーダーフロー(PFOF)」に基づいたビジネスモデルをとる手数料無料のオンライン証券取引の草分けだ。バーニー・マドフが考案したPFOFは、証券取引業者が第三者から注文回送手数料を受け取るもので、事実上の賄賂であると批判する声も多い。

ロビンフッドによるPFOF運用は透明性がない。同様のビジネスモデルをとる競合が相次いで参入したことで、手軽に証券取引を始める方法として投資初心者の多くが引き付けられた。そうした人の多くは、最近起きたゲームストップ株騒動を引き起こした当事者だ。

ロビンフッドでは、オンラインカジノでみられるような強引な誘導手法が多くとられており、初心者の投資意欲をあおっている。PFOFのビジネスモデルでは、取引量が多ければ多いほど稼げるため、ロビンフッドは利用者の投資活動増加を積極的に促している。こうした顧客操作は、マサチューセッツ州の規制当局がロビンフッドを相手取り昨年12月に起こした訴訟の理由とされた。

証券仲介業者は、顧客の行動に対してどの程度まで責任を負うべきなのだろう? 顧客の多くが金融知識に乏しい若者で、上げ相場のうたい文句や、株取引が社会的に認められた行為であることに引き付けられ、ちょっとした働きかけで簡単にのめりこんでしまう場合はどうか?

新興のオンライン証券取引サービスに対しては、世界中で取られているギャンブル依存対策と同じ措置を講じるべきなのだろうか? 株式市場がカジノのように運営され、客ののめりこみ度合いに応じて自分のもうけも増えるがために、賭けをひたすら続けさせようとする無謀なカジノディーラー同然の存在に取引業者が成り下がったら、どうなるのだろうか?

編集=遠藤宗生

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