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──青森山田と興国は違う?

青森山田は良い意味で「絶対に勝たなければならない」で、僕らは「負けていい試合はないよ」という表現の違いでしょうか。僕らも「内容が良かったけど負けた」というのはダメです。「絶対に勝て」がファーストではないですが、「内容がなくて勝つ」のはダメです。「内容をもって勝て」ですね。

例えば、前半を1-0で勝って折り返しても、後半は引かずに2点目3点目4点目をとることを選びます。一方、青森山田では「絶対王者として、このゲームに勝つ」があるので、勝負に対する追求の仕方が異なります。とても勉強になり、選手らがすごく刺激を受けていました。

選手に指導する監督

正しい使い方を教えながら危険性も学んでいく


──昨年度はコロナがあって大変でした。興国ではYouTubeに自主練の様子を選手がアップしSNSで発信していました。その指導の背景は?

発想はシンプルで、「今の子たちがそういったことに敏感だから」です。TikTokにのせていいよとも言っていました。閲覧数が伸びることで、承認欲求が満たされる部分があるなら、それが「モチベーション」になっていいんです。外出もままならない、指導者が近くにいない、一人でトレーニングする際に、「モチベーション」をどう保てるか。自分の動画を見てもらうことがエネルギーになるなら肯定します。私も確認できますしね。それをクラブのオフィシャルSNSで紹介します。



──危険ではないかという声もあるのでは?

リスクはもちろんあります。多くの学校が「携帯禁止」「SNS禁止」としています。いじめにつながる可能性もあってナーバスになるテーマです。でもこれは私見ですが、未成年として最後の教育機関である高校が携帯を禁止にすることは、自動車教習所に通わずに運転するようなもの。彼らが未成年ではなくなった時、何の指導もないままSNSを扱うことになるんです。

それが、SNSで誹謗中傷やトラブルが起こる原因の一つだと思うんですよね。高校でSNSの使い方を指導することが必要かと。ただし、僕の場合はサッカー部の監督で、その関係性から選手をコントロールしやすいこともあるでしょう。その中で、正しい使い方を教えながら危険性も学んでいく。ポジティブなことを経験させながらネガティブなことを指導してあげることが必要だと思っています。

また、大学進学の学生もいたので、自分のプレイ動画を作ってYouTubeにアップするというのもさせました。自分が出ている試合の映像を集めて、切り取って動画を作成する。なかなかのクオリティで作っていますよ。それを自身のツイッターから限定公開でYouTubeに公開する。オープンにしたい人は自己責任でとやらせていました。

練習後に個別に相談する姿
指導者と学生の間に古い時代の壁はない。

今年度もコロナの影響は少なくないなか、新チームはすでに始動している。SNSを活用した指導は今後も継続する予定だという。プロに進む学生にとっては、入団はまだ通過点。これまで以上に厳しい競争に勝てないと若くして引退もありえる。スポーツ選手特有のスポットライト症候群により、引退後に他の仕事や家庭で活躍できなかったら……。そうならないことを内野覚監督は指導しているようにも見えた。自覚をもった未成年ほど、頼もしいものはない。

文=上沼祐樹

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