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ポストラグジュアリー 360度の風景


新しいラグジュアリーなのにラグジュアリーと意識していなかった担い手には、香水の領域で「パルファン サトリ」の大沢さとりさんもいます。かの「匂いの帝王」ルカ・トウーリンが初めて認めた日本の独立系ブランドの香水です。


(c)PARFUM SATORI

すでに複数のホテルなどでもコラボしていますが、彼女も「あまりラグジュアリーを考えたことはない」と話していました。マーケティングで狙って「日本らしい香り」を創ろうとしたのではなく、自分のなかにあるイメージを追求して具現化していったら、結果として、海外の香水愛好家や香水の権威から「日本らしさ」を認められたというわけです。

このプロセスがなんとも王道に見えます。ラグジュアリーは狙えるものではなく、「結果として」周囲がそう認める、そういうものです。

身体と向き合うというラグジュアリー


また、ラグジュアリー領域に入れてよいかどうか判断しかねますが、肌に触れる部分の快適さをラグジュアリーととらえる日本女性が多いという視点から、フェムテックに関わる製品の起業家も候補として付け加えておきます。吸水ショーツでブームを起こした「ナギ」の石井リナさんもその一人。女性のエンパワメントを目的とするメディアも立ち上げており、ラグジュアリーというよりもむしろ社会起業家として活躍されています。

特殊繊維で温度感をあげる機能をもった「オンドミュウ」の温活ショーツを世に出した山田奈央子さんもフェムテック系起業家のひとり。彼女も世界進出を構想しており、そこで「勝てる」見込みのある要素として、下着としての美しさはさることながら、女性の身体と真正面から向き合った機能性を第一に挙げています。


(c) オンドミュウ

まだ例はいくつも挙げることができますが、日本においてはロジックが追いついていないどころか、そもそも「新しいラグジュアリー」の概念が浸透していないというのが現状における実感です。

幸いにして彼らはSNSを通してコミュニケーションをとることもうまいですし、新しい価値観を受容する感度もいい。作り手が、ビジネスを作りながらロジックを組み立て、世界の意見形成の場に参画していく、その後押しができればよいですね。

文=安西洋之(前半)、中野香織(後半)

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