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山本憲資の百聞と一見の二兎を追う


この先、できることであれば、墜落はしないで、軟着陸をしたいですね。あと5年、10年と終わりを決めているわけではないです。60歳のときはまだ遠い先のことだなと思っていましたが、70歳になると、そこまで先は長いわけではないなという自覚もあります。

妥協することなくやるっきゃない


同世代でいうと、「北島亭」の北島素幸さん、「ラ・ブランシュ」の田代和久さん、そして若い世代の「ラ・マティエール」の池田辰之さんらが尊敬する同志たちです。

うちのお店で働いた人たちはみんな、僕にとっては競争相手であり仲間ですね。ここで働いた時間よりも、出ていってからの時間のほうが長いので、そのときにいい友人関係でいられるような関係を、働きながら培えたらいいと思っています。あのシェフにはもう会いたくない、と思われるのは辛いです。

それ以外の多くの人々との関係は希薄なんですよね。日本の社会システムって病んでるというか、湿っぽい、陰湿な部分が多々あるなと思います。知っているのに、見て見ぬ振りをするようなところがある。そういうことには関わらずに生きていきたいですね。徒党を組んでというよりは、ひとりでポケッとしてる方が好きなんです。



今は、日々こなすべきこととか、スタッフに伝えていかなきゃならないこととか、そういったことが最優先で時が流れていっています。彼らに一番伝えたいことは、今の時代はなおのこと、「料理人は料理だけ」でいいわけでもないということ。そして、自分の経験値から炙り出した、この先生きていく上で必要な摂理とか普遍性についてですね。

今の時代、みんなスマホで答えを見つけます。ただ、答えがわかっていたとしても、行動しなければたどり着けないところもあります。僕は、近道を探すような生き方は姑息に感じ、違和感を持ちます。やはりまずは、妥協することなくやるっきゃない。これは料理人だけではなく、すべての職業に通じることだと思います。

文・写真=山本憲資

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