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ポストラグジュアリー 360度の風景


現在はポストラグジュアリーの時代に突入している、という立ち位置に立つと、ベイン&カンパニーが11月18日に発表した報告内容のなかのキーフレーズも、いっそう得心のいくものになるのではないでしょうか。

「今後は『高級品業界』という括りではなくなり、『文化と創造性に秀でた商品が入り乱れる市場』になっていくことが予想される」

ここ30年くらいの間に肥大化したラグジュアリー“ブランド”業界の諸問題が、コロナによってあぶりだされ、今はその変容に加速がかかっている混乱のさなかにあります。

ラグジュアリー“ブランド”商品として大量に売り出されてきた高級品が飽和状態となり、アウトレットでたたき売られるどころか、地球環境汚染の元凶とさえ見られることがある。経済の勢力図が激変し、デジタルネイティブで社会課題の解決に関心の高い世代が台頭し、彼らがラグジュアリーとみなすものが変化している。移民を受け入れてきたヨーロッパがもはやかつての文化的優位を保ったヨーロッパではなくなっている。


ドイツのアウトレットで買い物をする人々(Getty Images)

そんなもろもろの大きな変化を受けて、世界各地で新しいラグジュアリーの価値や意味が模索されながら、これまでのブランドビジネスとは異なるアプローチをとるビジネスが乱立することが予想されます。従来のラグジュアリービジネスのプレイヤーも変容を迫られています。まさにポストラグジュアリーの光景です。

松明を掲げる方向はベイン・アンド・カンパニーですら漠然としていますが、第一の目的地は「文化と創造性に秀でた商品」を生み出すこと、それを支援するロジックを構築すること、でしょうか。その先にはさらに、ローカルでのラグジュアリー・エコシステムの構築や、行政も視野に入れた組織の編成など、さらなる課題が待っていることが予想されます。

まずは日本を含めた世界各地で興っている新世代の具体的な動きをすくいとりながら、その方向を模索していきたいと思います。

文=安西洋之、中野香織

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