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イタリア発「サステナブルな衣食住遊イノベーション」


1. funachefにはメニューがない


メニューがない、すなわち、おまかせのコースのみ。毎日の食材は事前に注文せず、直取引の農家や仕入れ先のその日の売れ残りを一番遅い時間に連絡して全て買い取とると言う。農家にとってはありがたい「注文のないレストラン」だ。食材は何が入るかわからないためもちろん毎日違うメニューを考えねばならず、その分シェフのクリエイティビティが頼りになる。

2. 皿数も決まっていない


決まっているのは、お客さんが「お腹いっぱい」と言うまで美味しいものを食べてもらうということだけだ。だからお客さん一人一人と向き合って、お腹の調子はどう? どんなものが食べたい? もうそろそろやめとく? というようなコミュニケーションが生まれる。天気や季節によっても食べたいもの、飲みたいものは変わってくる。この多様なニーズに応えるにも、高いコミュニケーション力と繊細な観察眼が求められる。

「なんだ、割烹や寿司のおまかせと同じじゃないか」と思われるかもしれない。おまかせはその日にもっとも美味しい旬の素材を提供するためのものだが、船岡シェフの場合は最も無駄がないことに焦点があてられている。よって1日の終わりに、ほぼ全ての食材は使い尽くされている。

3. 厨房に大型冷蔵庫がない


その証拠に、funachefの冷蔵庫は普通のレストランの厨房にあるような業務用の大型のものでなく本当に小さなものだ。厨房に冷蔵庫が不要という一見なんでもないような事実こそが、注目すべき革新的な点だ。

自給自足型のレストランが、食材の仕入れから食事の提供までのサイクルをFarm to table型で限りなく短縮しているようなことを、都市で実現しているのだ。しかも食材が選べないわけだから、自給自足よりも料理人の寛容性と創造性が求められる。シンプルな仕組みながら、実は船岡シェフの高い循環リテラシーの上に成り立っているモデルと言えるのではないか。

コロナ禍に成功した「ローカル循環」


結果として同じ料理は2度と出てこない。これが一期一会の価値を生み、コロナ禍であっても来年4月まで予約がいっぱいという「成功」を生んでいる。循環経済は社会貢献のきれいごとではなく、経済的な発展にもちゃんと結びつくということが見事に証明されていると言えるだろう。

遠方からわざわざ来る顧客だけでなく、funachefには近所の人たちもひっきりなしにやって来る。最初は「循環? なんやそれ?」という反応が多かったと言うが、「コロナであえぐ農家の力になりたい」と供給先不足で余った食材をふんだんに使い、儲けを度外視で作ったお弁当などが評判になった。

文=齋藤由佳子 写真=funachef提供

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