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米フィラデルフィア連銀 パトリック・ハーカー総裁(Photo by John Lamparski/Getty Images)

米フィラデルフィア連銀のパトリック・ハーカー総裁は、国内で新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、米経済の回復はすでに「頭打ち」になっている兆しがあると警鐘を鳴らした。また、今春失われた2200万人の雇用の多くは急速な自動化の導入によって二度と戻らない可能性があるとも指摘した。

2日のオンライン会議で、フィラデルフィア連銀による暫定的な調査結果を発表した際に述べた。

ハーカーは、米経済の回復は2021年前半までは緩やかに推移し、成長率はパンデミック前の水準にとどまるとみていると説明。その根拠として、新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからず、「財政支援、なかでも低所得世帯への財政支援が蒸発した」ために、米経済が頭打ちになっている兆しがあることを挙げた。

ハーカーはさらに、リセッション(景気後退)後の雇用動向を過去数十年さかのぼって調べたところ、パンデミック中に削減された雇用の多くはオートメーション(自動化)の結果、二度と戻らないという結論にいたったことも明らかにした。新たにわかったことでも「最も驚くべきもので非常に憂慮される」とした。

ハーカーによると、自動化によって恒久的に失われるおそれが最も高い仕事は、リモートワークができない、あるいは許されない仕事や、感染リスクが高い仕事で、とく工業や食品サービスの現場だという。

ハーカーは、属性別にみた労働者のなかで、恒久的に失われそうな仕事に携わる可能性が最も高いのはマイノリティーだとも指摘。パンデミックが促進した自動化によって、米社会の格差に拍車がかかることが予想されると懸念を示した。

ハーカーは、米経済の成長は2021年後半から2022年にかけて力強さを増していき、2023年にやや鈍化すると予想しつつ、それには来年夏までの広範なワクチン接種と、1兆ドル(約104兆円)規模の追加経済対策の実現が条件になると説明した。前者は最近の進展から期待できるものの、後者は「たいへん不透明だ」と危機感をあらわにした。

ハーカーはこのほか、現行の支援策が年末に期限を迎え、多くの米国人が失業給付の喪失や立ち退き、差し押さえといった苦境に直面するおそれがあるなかで、「財政の崖」が刻一刻と近づいている点も警告した。米国の失業者は11月時点で1110万人にのぼっている。

編集=江戸伸禎

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