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トランプがいまだに敗北を認めていない一方で、世界は既にバイデン政権への移行準備を進めている。菅もツイッターへの投稿で、「ジョー・バイデン氏及びカマラ・ハリス氏に心よりお祝い申し上げます。日米同盟をさらに強固なものとするために、また,インド太平洋地域及び世界の平和、自由及び繁栄を確保するために、ともに取り組んでいくことを楽しみにしております」と表明した。

バイデン政権の誕生は、安倍・トランプ時代に頓挫した改革を再始動する絶好の機会となる。9日に日経平均株価が急上昇したことも、それを物語っている。

バイデンはトランプの強硬な対中路線を即座に撤回はしないかもしれないが、地政学的な緊張の緩和に動くことは間違いない。米中間の停戦は、ビジネスと投資家の信頼感を大幅に高める。また、トランプが鉄鋼・アルミニウムなどの重要輸入品にかけた関税の緩和に向けたタイムラインが示されることも、信頼感向上につながるかもしれない。

世界1位・2位の経済大国である米国と中国の間での建設的な対話再開は、歓迎すべきことだ。バイデンは中国に譲歩し過ぎれば、軟弱な姿勢を批判される恐れがある。ただ、トランプは、中国と大規模な貿易協定を結ぶこと自体よりも、中国とのけんかに重きを置いていた。バイデンはそうした演出や虚勢よりも結果に重きを置くことは間違いない。トランプ関税は、中国から貿易黒字を奪うことすらできなかった。

今後訪れる平穏は菅にとって、労働市場開放の加速や行政改革、生産性向上、起業ブームの促進、女性の社会進出支援、国外からの人材招致、そして再生可能エネルギーへの移行を進めるチャンスとなる。さらに、中国や韓国との関係改善も期待できる。

菅は、ひどく悪化した対中韓関係を前政権から引き継いだ。バイデンの勝利は、北アジアの経済大国同士が過去の確執を脇に置いて貿易や地域金融で協力する口実となるかもしれない。バイデンがホワイトハウスで北アジアサミットを開催すれば、それは賢い動きとなるだろう。

バイデンの勝利は、日本政府が改革路線を復活させる上でゲームチェンジャーとなり得る。日本にとって向かい風ではなく追い風となる米国の政策は、菅の新政権にとって心機一転のチャンスとなるのだ。

編集=遠藤宗生

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