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THE TRUTH


試合前の段階で、20チーム中で19位にあえでいたシェフィールド・ユナイテッドに、前半で先制された一戦は、同41分のフィルミーノの今シーズン初ゴールで追いつき、後半19分のジョッタのゴールで逆転している。6試合を終えてサラーは6ゴールをあげ、マネも4ゴールで続いている。

フロントスリーを含めた主力を休養のためリザーブに回した28日のチャンピオンズリーグ、ミジュランド(デンマーク)戦では先発を果たした南野だったが、得点に絡めないまま後半15分にサラーと交代した。試合は後半にジョッタ、サラーがゴールを決めたリヴァプールが2-0で快勝した。

「サバンナ」で生き残るために


昨シーズンに続いて強力な攻撃陣の控えとしてのスタンバイが続く状況でも、もちろん南野はファイティングポーズを失ってはいない。所属していた時期は重複していないものの、マネもザルツブルクで脚光を浴び、英プレミアリーグのサウサンプトンを経てリヴァプールで不動の存在になった。

かつてセレッソ大阪から2015年1月にザルツブルク入りした南野の転機も不意に訪れた。リヴァプールと対戦した昨年10月のチャンピオンズリーグ。敗れたものの、1ゴール1アシストの活躍で衝撃を与えたプレーが、リヴァプールを南野獲得に動かせたのだ。だからこそ、結果を残すことが未来を変えると信じている。

「ザルツブルクよりも1試合1試合の注目度の高さや、試合自体のレベルの高さを感じていますし、そういう舞台でプレーできる喜びや充実感もあります。これを目標にヨーロッパへ来たこともあるし、だからこそ現状に満足するのではなく、しっかりと結果を残して周囲に自分を認めさせ、自分の居場所をしっかりと確保していきたい。

所属チームでも日本代表でも結果を残さなければ、出場機会は確約されるものではないと思いながら、いつも試行錯誤してきたので」

一連の言葉を南野が残したのは、今年初の日本代表の活動としてオランダ遠征が実施された10月上旬だ。カメルーン、コートジボワール両代表と、オランダのユトレヒトで対戦した今回の遠征では、ラモス瑠偉や名波浩、中村俊輔や香川真司など、チームの中心となるプレイヤーが背負ってきた番号「10番」を初めて託されている。

もちろん、森保ジャパンで長く「10番」を背負ってきたMF中島翔哉が、所属するFCポルトで試合出場から遠ざかった関係で、今回は招集されなかったこととも関係している。それでも、森保ジャパンで最多となる11ゴールという結果を残しているからこそ、チームも南野に「10番」を引き継がせたのだ。

今回の日本代表のオランダ遠征に招集されながらも体調不良で辞退したDF長友佑都は、イタリアを代表する名門インテルで7年間もプレーした経験から、ビッグクラブでプレーする意義をこう語ったことがある。

「サバンナにいる動物とそのへんの山にいる動物とでは、研ぎ澄まされ方がまったく違う。常に狙われ続ける厳しい環境で育つ動物と、普通に寝ていても襲われない動物とでは。僕ら人間も動物なので同じなのかなと思う。やっぱりインテンシティー(強さ、激しさ)が高い、厳しいリーグでプレーしないと」

世界中から猛者たちが集うプレミアリーグは、イタリアのセリエAをはるかに凌駕する、サッカー界で最も過酷な「サバンナ」と言ってもいい。いまは我慢を積み重ねる時期かもしれない。

それでも期待とラブコールとを背負ってリヴァプールの一員になった南野は、屈強なディフェンダーたちを噛み砕き、相手ゴールに風穴を開ける鋭い牙を、自らが抱えるジレンマを鑢(やすり)としながら、日々研ぎ澄まさせている。

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文=藤江直人

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