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ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座


酒文化で地域を盛り上げたい


永井則吉氏は、代々続く酒蔵に生まれ、群馬県川場村で育った。4人兄弟の末っ子で、自分が家業を継ぐとは思っておらず、学生時代は建築の勉強をし、建築家を志していた。

実家の酒蔵の改築のときに、その設計に携わり、アートとテクノロジーが融合している建築の世界と日本酒造りに共通点を感じ、酒造りにも興味を持つようになった。

永井氏はこう言う。「日本酒は、ただの商品ではなく、自然、文化、歴史や人々の営みが詰まったものです。日本酒を通じてこれらを伝えることができればと思っています」

この言葉通り、酒文化を世界に伝え、さらに、日本酒で地域を盛り上げることにも尽力している。


川場村の田園風景

永井氏の地元へのこだわりは、酒造りにもあらわれている。通常、日本酒は、酒米から作られるが、永井酒造では、川場村産のコシヒカリ「雪ほたか」という、天皇・皇后陛下にも献上している、群馬が誇る食用米からも酒を醸している。さらに、昨年から、川場村で自分たちで米造りも始めた。

雪ほたかで、ピュアと同じ製法で造った本格スパークリング酒「雪ほたかAwa Sake」を試飲したが、ふくよかな米の旨みが感じられ、柔らかく優しい口当たりで、そこに溌剌とした泡が口の中を引き締める、上質な味わいだった。


永井酒造では、永井家が所有する広大な森のなかにある川の水を酒造りに使用している。その水源は、永井家が先祖代々受け継いで、守ってきたものだ。

世界の乾杯の場に日本酒を


永井氏が本格的なスパークリング酒の開発に固執していたのには理由がある。「世界の乾杯シーンに、ワインと同じ醸造酒である日本酒を登場させたい」という想いだ。

そうした泡の酒文化を構築することを目標に、同じ志を持つ生産者と一緒に「Awasake協会」を発足させ、世界的に泡の酒を普及させることにも努めている。


水芭蕉の日本酒

さらには、ワインのように、食事を通じて日本酒を楽しんでもらえるように、食前酒としてのスパークリング酒に加えて、食中酒としてメインの料理にも引けをとらない熟成酒の「Vintage(ヴィンテージ)Sake」、そして食後の「Dessert(デザート)Sake」を開発した。

これは、食事の各場面に適した日本酒を提供するという業界初の試みで、この一連の流れを「NAGAI STYLE(ナガイスタイル)」と呼び、世界に発信している。


群馬県の酒蔵

最近では、女性をターゲットに、もっと気軽にスタイリッシュに日本酒を楽しんでほしいという願いのもと、「MIZUBASHO Artist Series」を新発売した。

次々と新しい発想で、日本、そして世界に羽ばたいている永井酒造から、今後も目が離せない。

島 悠里の「ブドウ一粒に込められた思い~グローバル・ワイン講座」
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文・写真=島 悠里

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