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実に細かく、気が遠くなりそうな作業だ。しかしその絶妙なニュアンスを「ユーザーは自然に感じ取っているはず」だと佐藤は言う。

「料理と同じです。美味しいかまずいか、その微妙な違いは料理ができない人でもわかる。でも『それを作れるか?』というのは別の話です。フォントも同じ。体系立てて、細かなところまで戦略的かつ効率的に作れるか。これは、デザイン、ブランディング、経営、運用までわかっていないとなかなか難しいです」

楽天の財産が増えた


「これでデザインのベースが全て揃った」と佐藤は言うが、今回のプロジェクトで得られたのはフォントだけではない。2018年4月に発足した楽天デザインラボが制作にフルコミットしたことが大きな成果であるという。

「極端な話、このフォント制作は僕とDalton Maag社だけで進めることもできたかもしれません。しかし、それでは楽天にナレッジが残らない。楽天の“担当者”でなく“デザイナー”が細かなところまで入り、社内にノウハウが蓄積されたことは本当に素晴らしい財産です」


佐藤、楽天、Dalton Maag社でのフォントに関する議論。検討を重ね、少しずつ方針を絞り込んでいった。(c) 楽天

佐藤との仕事を振り返り、「1年以上かけて多くの議論を重ねましたが、可士和さんは判断スピードが早く、迷いがない。『ブランドとして強くなるか』という軸でどんどん決めていく」と話す河上は、ラボ創設前から楽天で働いている。

最後に、ラボができてから大きく変わったことはあるのかと聞くと、「以前より、仕事が経営に近いところにあります。決定のスピードが上がりました。世の中や会社の変化にデザインですぐに対応できるのは大きいです」と、そのやりがいを語ってくれた。

文=横山理恵 編集=鈴木奈央

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