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リンダ・グラットン教授(左)とアンドリュー・スコット教授(右)/ Getty Images

2016年に出版された、ロンドン・ビジネススクール教授のリンダ・グラットン氏とアンドリュー・スコット氏の共著『LIFE SHIFT(ライフ・シフト)』は、今まさに高齢化社会に直面している日本社会で大きな反響を呼んだ。しかし、2020年初頭に端を発した「コロナパンデミック」は世界中の経済を塗り替え、ライフスタイルの急変を余儀なくされている。

現在の予期せぬ危機をどう乗り切ればよいのか、また、コロナ禍以降のライフシフトの方向性は従前と変わったのか。両氏に聞いた。


──2020年は「コロナパンデミック」で明け、恐らく「コロナ」で暮れていくのではないかと思われますが、これから先しばらくの間、コロナとの共生を余儀なくされる私たちのために「ウィズコロナ」を伴う人生100年時代を賢く生き抜くための人生戦略について教えて下さい。

アンドリュー・スコット(以下、スコット):皆さんもそれぞれ体験なさっているように、コロナは私たちのライフ・シフトに急激な変化をもたらしているといえます。世界的には68歳以上の年齢の死亡率が極端に高く、これは糖尿病、高血圧、心臓病などの既往症が問題だといわれています。

日本は長寿大国として知られていますが、今回のコロナに関しても、死亡率が極端に低く推移しています。これは日本においては健康な高齢者の数が多いということをまさしく証明していて、とにかく「with コロナ」であろううと「without コロナ」であろうと、日本に生まれたら100年を生き抜くための準備をしなければならないということではないでしょうか。

そして、今回の日本のコロナ死亡率の例は、健康を維持した健全な経済活動が、価値ある人生を築く第一の条件だということを改めて私たちに提案しています。その一方、現在日本が抱えている大きな問題の一つは、今までの9時〜17時の典型的な勤務形態から、ITを駆使したリモートワークへの切り替えに対する意識に遅れが見られることです。

イギリスや日本に限らず、コロナ禍以降は各国共に企業による「余剰雇用者の解雇」という状況が増え、「従来のワークライフバランス」とは異なった観点で捕らえる「新しいワークライフバランス」の意識構築が必要になってくるはずです。未来に向けたテクノロジーの推進、リモートワークを伴う雇用維持、アントレプレナーシップやスタートアップ事業に対する若者たちへの国家的支援を含め、今後ますます政府の舵取りが重要になってくるのではないかと思います。

リンダ・グラットン(以下、グラットン):アンドリューが私が指摘したいほとんどすべてのことを語ってくれたと思いますが、ここで私が特に付け加えたいことは、今回のコロナパンデミックは私たちに「ストレステスト」と「忍耐」という問題を突きつけたのではないかと思っています。

実は、私は今年3月14日から『コロナ禍日記』をつけ始めているのですが、その中で特に気づいた次の5つの点について挙げてみたいと思います。

文=賀陽輝代 構成=谷本有香

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