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krisanapong detraphiphat/Getty Images

台湾の電子部品大手「ヤゲオ(国巨)」はアップルのサプライヤーの1社として知られる企業だ。同社の株価は過去1年で50%の上昇となり、会長を務めるピエール・チェンの保有資産はフォーブスの試算で34億ドル(約3600億円)とされている。

エレクトロニクス分野で事業を拡大したヤゲオは近年、自動車分野に注力を進め、今年に入り米国企業Kemetの18億ドルの買収手続きを完了させた。Kemetは米国の自動車分野の大手に電子部品を納入している。

ヤゲオはさらに先月、ロサンゼルス本拠のEV(電気自動車)関連のスタートアップ「カヌー(Canoo)」に1000万ドルを出資した。EV分野ではここ最近、テスラの株価が史上最高値を記録し、中国企業のLi Autoやシャオペンらが米国でIPOに踏み切っている。

筆者は先日、ヤゲオ会長のチェンにインタビューを行い、同社がEV分野に抱くビジョンについて尋ねた。下記にその抜粋を掲載する。

──EV市場をどのように捉えていますか?

伝統的な自動車産業が変革を迫られる中で、EVや自動運転車が今後、人々の暮らしを変えていくことは間違いない。テスラは既に大きな成功を収めたが、これに続いて様々な車両が市場に投入されていくはずだ。

私はこの市場が完全に成熟期を迎える前に、ヤゲオがそこに乗り込むべきだと考えている。出来るだけ早期にトライアルを重ね、市場の需要や課題を学ぶことが大切だ。当社自身がEV業界の主要プレーヤーになるのではなく、重要なサプライヤーとしてのポジションを築きたいと考えている。

──EVの価格はまだ一般消費者には高過ぎませんか?

そう思う。しかし、エネルギー消費を抑える車両や、従来とは異なるエクスペリエンスを提供する自動車の市場は存在する。EVでしか味わえないエクスペリエンスや安全性、省エネ性を打ち出すことで、このカテゴリは発展すると考える。

──Kemetの買収を決めたのは、自動車業界とのつながりに魅力を感じたからですか?

ヤゲオは以前から自動車分野への進出を目指してきた。当社は自動車向けのGPS機器やオーディオ機器を製造しており、次のステップとしてEVや自動運転車向けの市場を念頭に置いている。顧客としてはGMやクライスラー、トヨタ、ホンダ、日産、BMW、ポルシェなどが想定できる。駆動系のシステムやさらに別の電子コンポーネントの製造も視野に入れている。

──EVスタートアップのカヌーに出資を決めた背景は? 

彼らの存在は数年前から知っていた。当社はこの分野の設計や開発を学ぶ目的で1000万ドルを出資した。カヌーは2022年頃には、さらに新たなモデルを立ち上げる計画だ。

──他のEV系の企業に出資する計画は?

現時点では投資対象を広げる計画は無い。まずはこの分野を学び、とのようなソリューションが求められているかを研究する。その後に、他社を2年ほど先行する形でリソースの割り当てを進め、グローバル規模で部品の調達を行い顧客に提供していく計画だ。

編集=上田裕資

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